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謎の生物 シーモンキー

 経緯は忘れてしまいましたが、中学1年の時に”シーモンキー”の話題で盛り上がりました。まだ、小学生の頃のオカルトブームが、少し尾を引いている時期だったのかもしれません。当時、週刊ジャンプやマガジンの裏表紙、月刊アイドル雑誌の明星平凡の裏表紙には、必ず怪しげな通販の宣伝が載っていました。”シーモンキー”もその一つです。

 タイトル図のように人魚に手足が生えたような奇妙なイラストが、シーモンキーの特徴です。また、”モンキー”の名前の通り、猿(人)っぽい顔が描かれていました。その説明文によれば、卵を水に戻すだけで、孵化して可愛いペット(?)が誕生すると書かれていました。

 たぶん3-4人で、この話が本当かどうかを話し合っていたと思います。もちろん、実物を見たことがないので、結論は出ません。そこで、同級生の一人が通販で買って試すことになりました。私も多少の興味はありましたが、お金(600円)を出して買うほどの興味はありませんでした。その同級生は、特にシーモンキーが気になったらしく、快くこの実験を引き受けてくれました。

 しばらくして、シーモンキーが届き、飼育が始まりました。同級生の話によると、2-3日でミジンコみたいなのが孵化したらしいです。しかし、通販のイラストとは似ても似つかない、タダのプランクトンでした。それもそのはず、シーモンキーの正体であるアルテミア(Artemia)は、エビのような節足動物です。しかも結構昔からいるみたいで、1億年前から変化していない生きている化石とされています。田舎に住んでいる人なら知っているかもしれませんが、日本の水田に生息するホウネンエビによく似た姿をしています。大事に育てれば、割と大きくなるみたいですが、その同級生は一気に興味を失って、その後は”シーモンキー”の話題が出ることはありませんでした。

 しかし、シーモンキー(アルテミア)には興味深い特徴があります。アルテミアは、乾期などで環境が悪化すると、メスは乾燥に耐え長期にわたって休眠することができる耐久卵を産みます。耐久卵は数年間も環境の回復を待ち、環境が戻った時に孵化します。クマムシネムリユスリカなどの乾眠と似た生命維持システムには、トレハロースが深く関与しているらしいです。

 この生命維持システムが解明できれば、”乾燥した干しエビを、瑞々しい生きたエビに変えられる”そうです。2年前くらいに、ラジオでそんな話を聞きました。確か乾眠の話は、マンガ『テラフォーマーズ』にも出ていた気がします。

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