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”競争しない”という選択

生存競争という言葉があるように、生物にとって競争は避けられません。野生生物の場合は、同種間の競争が有ったり、異種間の競争もあります。人間社会でも、様々な場所で競争があります。例えば、受験や就職活動も競争です。競争に勝たないと”良い大学”や”良い企業”には行けません。

競争するのは悪い事ではないし、ライバル間での”適度な競争”はお互いの能力を高め合う場合だってあります。しかし、多様性の時代、競争しないという選択肢があって良いんじゃないの、と思ったりします。生物の中には、共生/共棲と言って、複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象があります。

有名なのは、イソギンチャクとクマノミの関係です。イソギンチャクの触手には毒があり、これで魚などを麻痺させて捕食しています。ところがクマノミの体表には特殊な粘液が分泌され、イソギンチャクの毒は効きません。このためクマノミはイソギンチャクの周囲を棲みかにして外敵から身を守ることができます。ただし、イソギンチャク側のメリットは不明らしく、クマノミは一方的に恩恵を被っているのかもしれません。

人類は競争しないことで絶滅を免れたとする仮説があります。いまから約93万年前から約81万3000年前にかけて、現生人類の祖先は数千人規模まで数を減らした可能性が高いことがわかってきました。この期間に、人類の祖先集団は約98.7%が消失したと考えられていて、絶滅の危機に瀕していました。

この絶滅の危機を救ったのが、”個の競争”ではなく”他者への思いやり”だったと考えられています。この頃は、深刻な寒冷化によって食料不足が生じたようです。しかし人類の祖先は、食料を融通し合うなどして集団を維持したようなのです。

適度な競争は必要ですが、競争しない生き方/暮らし方があっても良いと思います。アクセクせずに、ノンビリ過ごしたいですね。

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