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やっぱり最後はローカルでしょ

 グローバル化/グローバライゼーション(Globalization)は、社会的・経済的な関係を国内だけでなく地球規模にまで拡大させることを意味しています。具体的には、ヒトモノカネの流れを滞らせる障壁となる国境や規制を取り除き、世界規模で結びつきを深めていくような活動のことをいいます。欧州連合(EU) は、グローバル化の壮大な実験です。

 なお、グローバル化と似た言葉で、国際化(Internationalization)があります。国際化は、国家同士が国家や国境を前提として連携していくことですが、グローバル化は、国家や国境をなくした世界を目指すものです。

 グローバル化のメリットは、コストダウンにあります。先進国では商品の価格に占める人件費や地価などが高額で、これらが製品価格を押し上げる要因となっています。そこで、生産拠点を新興国や発展途上国に移すことによりコストダウンを図り、価格を安くして競争力を強化するという手法が盛んに取り入れられています。また、グローバル化で商圏の拡大が期待できます。グローバル化によって、商圏が広がるので、ビジネスチャンスも増え、多くの顧客を得られる可能性が高まります。

 ただし、グローバル化のメリットは”ビジネスでのメリット”です。日本の製品は品質の高さが魅力ですが、グローバル化によるコストダウンでさらに競争力が高まり、世界の人々から受け入れられるようになっています。日本の経済は、資源を輸入して付加価値の高い製品を製造し、それを輸出するビジネスで成り立っているので、グローバル化は一見正しいように見えます。

 しかし、グローバル化のビジネスで置いて行かれた人達には、何のメリットもありません。そのため、トランプ前大統領のアメリカ・ファースト宣言や、各国での移民排斥運動など、反グローバル化の動きも活発化しています。意味合いは少し違いますが、イギリスのEU離脱もグローバル化の流れに一石を投じました。

 良くも悪くも交通手段の発達で、世界はどんどん狭くなっています。国際化やグローバル化は自然の流れかもしれません。しかし、グローバル化がそこで暮らす人々の本当に幸福につながるかどうかを、しっかりと見極める必要がありそうです。

 グローバル化の反意語に、ローカル化/ローカライゼーション(Localization)という言葉があります。日本語では、局在化や局地化のことを指します。特に、情報技術においては、コンピュータソフトウェアを現地語環境に適合させることを意味します。また映画やテレビ番組などのエンターテインメントにおいては、作品の海外輸出に際して、その国の文化に合うよう作品の一部を改訂することを指します。

 グローバル化やローカル化には、それぞれメリットやデメリットがあります。結局、程良いグローバル化とローカル化の組み合わせが一番なのではないかと夢想しています。私は衣食住のうち、衣と住には無頓着ですが、食つまり『伝統的な地域固有の嗜好』は変えられません。食に限れば、『やっぱり最後はローカルでしょ』に落ち着きますね。

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