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"踏み間違い"を科学する

 高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違える事故が後を絶ちません。もちろん、人間はミスを犯す動物ですから、高齢者でなくても間違えることはあります。しかし、頻繁に起こる現象には、何らかの根本原因があるはずです。

 私は大学生の時に運転免許を取りました。しかし、定期的に車を運転することが20年以上なく、免許だけは持っている、いわゆるペーパードライバーの期間が長く続きました。しかし、10数年前から通勤のために車の運転を再開しました。最初はかなり怖かったのですが、さすがに10年以上乗ると少しは慣れてきました。ただし、自宅から職場まで運転する地域限定ドライバーなので、知らない道を運転する場合は今でも緊張します。

 何せ、自動車学校で習ったのはかなり昔なので、最初はブレーキやアクセルなどに置く足の位置で随分悩みました。自分なりに工夫して、今の運転方法になりました。今乗っているのはオートマ車なので、右足のホームポジション(基本位置)は、ブレーキの位置です。なお、かかとは床につけています。アクセルを踏む場合は、踵を付けたまま、踵を支点として足先を少し回転させて、ゆっくり踏み始めます。ホームポジションがブレーキ側にあれば、慌てている場合でも、ブレーキしか踏めませんから、踏み間違えることはほとんどありません。我ながら、素晴らしい方法を発明した(?)と思っていたら、この方法は既に正しい運転方法として、自動車会社のサイトなどで推奨されていました。

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 しかし昔ながらの自動車教習所では、「踵を浮かしたペダル操作は正しくない」と教えるそうです。そういえば、私もそのように習った気がします。しかし、踵を浮かせたペダル操作だと、極端に言えばアクセルとブレーキを踏み変えるたびに足自体を大きく動かす必要があります。また、足全体を動かして踏み変えるのでペダル位置を把握しずらく、踏み間違えの原因にもなり易いのです。また、最近のオートマ車は、踵を支点とした運転方法がしやすいように設計されています。

 免許を取った当時は、マニュアル車が一 般的でしたから、免許も当然マニュアル車で取りました。オートマ免許の人にはわからないかもしれませんが、クラッチという車輪に動力を繋げたり、切ったりするもう一つのペダルが左端に付いています。オートマ車では、坂道でもブレーキから足を外せば少しづつ動き始めるので、上り坂で発進する場合もズルズル下がることはありません。しかしマニュアル車だと、坂道発進で半クラッチというテクニックが必要で、これが出来ないと車が後ろに下がってしまいます。

 車はどんどん高性能になって、マニュアルからオートマ車へ、さらには自動運転車へと進化の方向が決定付けられています。”踏み間違い”が起きない世界が、すぐそこまで来ています。


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