チョッと高級な握り寿司と比べると、稲荷寿司や巻き寿司は、やや庶民的な食べ物に感じるでしょう。しかし私が子供の頃は、ちょっと贅沢なご馳走でした。当時の我家では、稲荷寿司や巻き寿司は、秋の大運動会のお弁当の定番でした。裏を返せば、運動会の様なビッグイベントでもないと作らない手間のかかる贅沢な食べ物でした。
ジジイになった今でも、稲荷寿司や巻き寿司が贅沢な食べ物だったという感覚が抜けません。いまならコンビニに行けば、稲荷寿司と巻き寿司がセットになった『助六寿司』が簡単に手に入るのにです。
この”助六”の名前は、歌舞伎の演目から来ています。歌舞伎の有名な演目の一つに助六所縁江戸桜というのがあります。この歌舞伎の主人公の名前が助六さんで、その助六さんの彼女が吉原の花魁だった揚巻さんです。助六さんが大好きだった揚巻さんの”揚”を油揚げの稲荷寿司、”巻”を海苔で巻いた巻き寿司に見立てたのが助六寿司です。
二種類の寿司を組み合わせた助六寿司は、結構好きで時々コンビニで買ったりします。でも、私がよく買うのは”サラダ助六”といって、巻き寿司が友情の太巻きではなくサラダ巻き(カニカマとレタス入り)が入ったやつです。江戸っ子が聞いたら、「そんなのは助六じゃねぇ!」と怒られるかもしれません。
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