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お勧めシリーズ本#7 大沢在昌『新宿鮫シリーズ』

新宿鮫シリーズ』は、大沢在昌ありまささんのハードボイルド小説シリーズです。主人公は、新宿署に勤める”訳あり刑事”・鮫島です。Wiki情報で始めて気が付きましたが、主人公・鮫島の下の名前は明らかにされていません。映画では真田広之さん、テレビドラマでは舘ひろしさんが主役の鮫島を演じていますが、私の中の鮫島のイメージは常に真田さんです。

このシリーズは、新宿署の鮫島警部を主人公とする硬派な警察小説のシリーズ。現実の刑事の捜査は二人組のチームで行われますが、鮫島はボッチの”はぐれ刑事”状態です。これは、鮫島がキャリア警察官なのに、警察内部の抗争に巻き込まれているという設定のためです。長編小説では11巻が出版されています。シリーズ本のタイトルは、”新宿鮫”で検索すればすぐわかるので、ここでは書きません。また短編もあって、中には”こち亀”の両さんとのコラボ作品まであります。

このシリーズでは、1作ごとに違った作風が試されています。私が最も好きなのは『毒猿どくざる』です。この本での主人公は、毒猿ドゥユアンこと劉鎮生リュウ ツェンシェンで、台湾マフィア首領直属の職業凶手、つまり凄腕の殺し屋です。普通は、シリーズ物の主人公である鮫島は、本の中でも主人公のはずですが、この本では脇役扱いです。

臨時の主人公である毒猿は、自分を裏切った台湾マフィアのボスに復讐するため、新宿に潜入しています。この本では、終始、毒猿視点でストーリーが展開されるという、シリーズの中でも特に異色な本になっています。毒猿はキャラの濃い登場人物ですが、その他の本でも、クセの強い登場人物が出てきます。

このシリーズの脇役として欠かせないのは、鮫島の恋人である青木晶あおき しょうと、直属の上司である桃井正克ももい まさかつです。青木晶は、元ヤンのロック歌手で、鮫島に“ロケットおっぱい”と呼ばれるほどの巨乳です。この青木晶が、硬派なストーリー展開に一服の清涼剤の役割を果たしています。また、桃井はヤル気のない窓際族の刑事ですが、実力を隠しているだけで、いざという時には活躍します。また桃井には、射撃の名手というカッコいい設定も隠されています。

このシリーズを読むなら、一冊目は『新宿鮫』で決まりですが、二冊目はどれから読んでも問題ないと思います。ただし、鮫島と青木の恋愛事情を追いたければ、順番通りに読むことをお勧めします。


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