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魔法の言葉 「ありがとう」「うれしいねぇ」

長生きをすれば、誰しもがそうなる可能性があるのが認知症です。私は今のところ大丈夫(?)ですが、近い将来はどうなるか自分自身でも分かりません。

認知症の症状は、多岐にわたるので詳しく説明できませんが、物忘れがひどくなる記憶障害や、時間や場所、周囲の人々と自分との関係がわからなくなる見当識けんとうしき障害などがあります。

このような認知症の人達を自宅で介護する人や、施設で介護にあたる人は24時間目が離せないので、苦労が絶えないことと思います。認知症の症状があっても穏やかな性格なら問題ありませんが、中には、このような障害のために不安になって興奮状態に陥り、暴言や暴力行為が現れる人もいます。こんな症状の場合は、それこそ大変です。

今日聞いた話は、認知症の話なのにチョッとホッコリする話です。認知症が進行して、施設に入ったお婆ちゃんがいました。そのお婆ちゃんは、段々言葉がわからなくなり、施設の職員ともコミュニケーションが取れなくなりました。このお婆ちゃんが発することができる2つの言葉が、「ありがとう」と「うれしいねぇ」なのだそうです。こちらが何を言っても理解できないお婆ちゃんは、常にニコニコして「ありがとう」と「うれしいねぇ」を繰り返すばかりです。

施設内では、いわれのない暴言によって入所者同士のイザコザが起きる場合もあります。認知症の人同士のイザコザですから、職員が理詰めで説得してもらちがあきません。そこで登場するのが、先のお婆ちゃんです。

イザコザの現場に、お婆ちゃんを同席させると、何に対しても「ありがとう」と「うれしいねぇ」しか言わないので、それまで険悪だった雰囲気が、いつの間にか和んだ雰囲気に変わってしまうのだそうです。

”感謝の気持ち”は、認知症になっても役に立ちます。この話を聞いて、いつまでも”感謝を忘れない人間”でありたいと思いました。

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