”知ったかぶり”してませんか?
「こんなことも知らないの?」と思われたくないために、ついつい、知ったかぶりをしてしまいます。私も、この”シッタカ傾向”が強く、テレビなどでちょっと一般的に馴染みのない専門用語が出てこようものなら、シッタカ根性がウズウズしてきます。誘惑に負けて、家族にその専門用語を解説しようものなら、「また、いつものシッタカが始まったよ・・・」と煙たがられます。こちらは親切で教えているつもりなのですが・・・。
”知ったかぶり”は、そのことについて知らない、または詳しくないにも関わらず、あたかも知っているかのような素振りをする事をいいます。知ったかぶりと一緒の意味ではありませんが、衒学という言葉があります。衒学(ペダントリー; pedantry)は、 学問や知識があることを自慢したり、見せびらかしたりすることや、学問を鼻にかけることをいいます。知ったかぶりの人は、実際には”知らない”のですが、衒学者は”知っている”ところが大きく違います。
実家に、母が作った西洋絵画のジグソーパズルが、リビングの壁に飾ってありました。1000ピースもある大作で、落ち着いた色合いの、農場風景を描いたものでした。ずいぶん前ですが、お正月で弟が家族を連れて帰省していました。私も家族を連れて帰っていたので、その年は賑やかな正月でした。ふと、壁のジグソーパズルの絵を見た弟が言いました。「この絵、知ってるよ。”ピカソ”の”農民”だろ?」。「なに~・・・!?」。
残念。作者も絵の題名も両方とも間違いでした。正解は、”ミレー”の”落穂拾い”です。これが将に”知ったかぶり”です。そのとき、弟は酒を飲んでいましたが、このシッタカ騒動のせいで、さらに顔が赤くなりました。ここで、ミレーの生い立ちやその他の代表作などの解説ができれば、衒学者になれたのに・・・。
このミレーの代表作は、”落穂拾い”ですが、”落葉拾い”と勘違いしている、知ったかぶりの人が結構います。ここで落穂を拾っている人たちは、貧しい人達で、食料の足しにするために落穂を拾っています。落葉は食べられませんので、落葉を拾っても、腹の足しにはなりません。
農場主は、麦の収穫の際には、きれいに刈り取らずに、”ワザと落穂を残す”ことを小作の人たちに指示します。これは、貧しい人々への施しの意味が込められています。ちょっと”衒学”の香りがし始めたので、”知ったかぶり”の話はここまでにします。