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超私的グルメ(14) チョコレートパフェ

 今回は禁断の味、チョコレートパフェの話です。

 私が小学校2-3年生の時?だったと思います。母のお供をして、商店街へ買い物に出かけました。何が目的だったかは忘れましたが、買い物が終わって帰る途中、母が「喫茶店に入ってみない?」と唐突に提案してきました。田舎の商店街でしたが、小さな喫茶店は数件ぐらいありました。母は既に入ったことがあるのかもしれませんが、私は”喫茶店初体験”でした。

 無茶苦茶古い考えですが、その当時の私は”喫茶店は不良が行く所”という先入観がありました。私は何となくモジモジしていたのですが、母はズンズンと喫茶店に入って行きました。そもそも、私には喫茶店が何をするところか良くわかっていませんでした。

 席に案内されると、氷の入ったお冷が出され、同時に店員さんがメニューも持ってきました。母は慣れていたのか、「チョコレートパフェにしましょう?。それでいい?」と聞きましたが、良いも何も”チョコレートパフェ”がどんなものかも知りません。チョコレートという名前がついているので、何となく甘い食べ物だとは想像がつきました。

 注文してしばらくすると、下の写真のようなバナナやミカンがのったチョコレートパフェがやってきました。もちろん頂上には、サクランボが鎮座していました。チョコレートパフェの実物を見たのは、この時が初めてでした。チョコのかかったアイスを掬って口に入れた瞬間、「ウメー!」、世の中には何て美味しい食べ物があるんだと感動しました。しばらくは無言で、チョコレートパフェと格闘しました。

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 食べ終わって喫茶店を出る前に、「このことは秘密だよ。〇〇ちゃん(弟のこと)には言わないで」と母にクギを刺されました。チョコレートパフェが美味しかったのと、母と二人だけの秘密を共有できた優越感で、帰り道はルンルン気分でした。半世紀ほど守ってきた約束を、この記事で破ることになりました。「弟よ、こっそりチョコレートパフェを食べたダメな兄貴を許してくれ~」。


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