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右や左が無い世界 絶対方位言語

 右や左といった相対方向の概念は一般的だと思っていましたが、そうではない別の方位間隔を持った言語があるそうです。

 右利きだと茶碗は左で持って、箸は右で持ちます。何かを基準として決める方向は便利ですが、時には不便なことがあります。例えば、ある人から「右にあるモノを取って」と言われた場合、向き合っていれば、その人にとっての右側なのか、自分の右側なのかで混乱する場合があります。私はアメリカ人と仕事をしている時に、同じ状況になったことがありました。その時に相手のアメリカ人はそれを察して、「Your right」や「Your left」と言い換えてくれました。

 混乱するだけなら一時的なことですが、右と左が判断できない左右盲という症状があるそうです。左右盲とはとっさに左右の区別が出来ない事や、左右の区別を出来ない人を指す言葉だそうです。たぶん、色盲からの連想で出来た言葉でしょうが、左右盲は正式な病名や学術用語ではないので、”左右失認”とも言うそうです。

 自分基準の相対方向である”前後左右”を表す表現を持たない言語が存在します。この人達は、方向のすべてを”東西南北”という絶対方位を使って会話します。オーストラリアの先住民の言語のひとつである、グーグ・イミディル語がその例です。グーグ・イミディル語による日常会話では、”足の北に虫がいる”や”あなたは私の西へ移動できますか”などのように使います。

 絶対方位言語を使うということは、絶対方位が瞬時にわからないといけません。つまり、絶対音感みたいな、『絶対方位感』が必要です。グーグ・イミディル族は、脳内に”体内コンパス”を持っていると考えられていて、幼い頃から絶対方位の感覚を磨きます。グーグ・イミディル族には、カーナビは必要ありません!?。グーグ・イミディル語は馴染みがなさそうですが、実は”カンガルー”はグーグ・イミディル語の語彙に由来します。

 ほぼ全て右利きの私ですが、何故だかトランプのシャッフルだけは左利きです。多分教えてもらった時に、対面だったので、右利きのその人と鏡面対称になったみたいです。

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