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お薦めマイナー本#10 さあ 数学しよう!

 今回は、数学嫌いな人が絶対に手に取ることが無いと思われる、数学入門の本を紹介します。本のタイトル(邦題)は『さあ 数学しよう!』です。英語のタイトルはもっとシンプルで、1単語の『MATH!』です。

 この本の作者であるサージ・ラング(Serge Lang)は、フランス・パリ生まれのアメリカの数学者です。10代の頃に家族でアメリカへ移住し、1946年カリフォルニア工科大学を卒業後、1951年にプリンストン大学で博士号を取得しました。1955年からシカゴ大学、コロンビア大学、イェール大学の教授を歴任しました。整数論と言われても私にはピンときませんが、その分野の専門家らしいです。

 ところで、ニコラ・ブルバキという数学者を知っていますか?。二コラ・ブルバキ(Nicolas Bourbaki)は架空の数学者で、主にフランスの若手の数学者集団のペンネームです。この数学者集団は、ブルバキという架空の人間を利用して、秘密結社的な活動を行なっていました。日本で出版された38冊に及ぶ数学原論は数学者の間では有名です。ラングも、このブルバキのメンバーの一人でした。

 少し脱線しますが、日本には岡 潔(おか きよし)という有名な数学者がいました。岡先生は次々と斬新な論文を出すので、海外ではブルバキのような架空の数学者だと思われた時期があったそうです。そう思わせた岡先生はすごいですね。

 ラングは、大学向けの数学の教科書の執筆者として知られていて、日本では『解析入門』や『続 解析入門』という題名で翻訳本が出版されています。これらの本は、大学数学のための入門書ですが、ここで紹介する本は高校生向けに書かれた本です。副題にもあるように、ハイスクールでの対話ですから、話はラングと高校生たちとの対話形式で書かれています。ですので、基本的には複雑な数式は出てきません。ごくごく基本的なところから出発して、体積の式や円周率の式を導いていきます。

 この本を読んだのは随分前ですが、暗記していた公式がどのように導かれたのかが、手に取るようにわかりました。数学が苦手な人でも、中学生レベルの知識で十分読めると思います。古い本なので、中古本しか売られていませんが、数学が苦手な人にもお勧めです。


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