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 カリギュラ効果、またはカリギュラ現象とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことをいいます。例えば、鶴の恩返しの話のように「見てはなりません」と言われると、むしろどうしても見たくなる心理現象です。しかし、このカリギュラ効果は、学術的な用語ではありません。

 この効果は、暴君として知られるローマ皇帝カリグラをモデルにした1980年の映画『カリギュラ』に由来します。この作品は過激な内容のため、アメリカではボストンなどの一部地域で公開禁止になりました。そのことで、かえって世間の話題を集めたことに、このカリギュラ効果は由来しています。ただし、この言葉は海外では用いられないので、日本固有の用語といえます。ちなみに、アメリカでは『カリギュラ』絡みで「ボストンでは禁止」という慣用句があったそうです。

 この効果は、広告宣伝やテレビ番組でも利用されています。例えば、テレビ番組で、ピーなどの効果音を付けて発言を聞こえなくしたり、モザイク処理をかけて映像の一部を見えなくすることで、視聴者の興味をかき立てます。また、ダチョウ倶楽部のお家芸である「押すなよ!。絶対押すなよ!」は、カリギュラ効果を意識したセリフです。

 カリギュラ効果の元になった暴君カリギュラの本名は、ガイウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスで、第3代ローマ帝国皇帝です。カリギュラというのは、幼少の頃に履いていた小さな軍靴に由来する愛称だそうです。彼の皇帝としての在位期間は西暦37年から41年なので、4年程度しかありませんが、その短い在位期間に、カリギュラは壮大な建設事業と領土の拡大に力を注ぎました。しかし彼は、彼の親衛隊の一部の将校らによって暗殺されてしまいました。

 彼の在位期間中、ローマ市民からは人気が高かったらしいのですが、現存する後の時代の史料では、カリギュラは狂気じみた独裁者であり、残忍で浪費癖や性的倒錯の持ち主であったとされています。もしこれが事実でないのなら、カリギュラさんには同情します。


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