偉人の別の顔#3 訴訟王・エジソン
トーマス・アルバ・エジソンは、説明するまでもないアメリカ合衆国の大発明家です。私が小学生の頃には、「エジソンの白熱電球には、日本の竹炭が使われている」と先生から習いました。その時は、まだ純粋だったので、「日本の竹ってすごいんだな」と素直に感心していました。しかし、大人になって、この話を疑うようになりました。だがしかし、最近になってエジソンの助手に岡部芳郎という日本人がいたことを知り、”本当だったのかも”と思うようになりました。
私たちが良く知っているエライ人・エジソンは『発明王・エジソン』ですが、彼には人間臭い企業人としての別の顔もありました。エジソンは、傑出した発明家で、生涯におよそ1,300もの発明と技術革新を行いました。例を挙げればキリがないのですが、有名なものでは蓄音機、白熱電球、活動写真などがあります。エジソンは起業家としても大成功していて、J・Pモルガンから巨額の出資・援助をしてもらい、エジソン・ゼネラル・エレクトリック社(現・ゼネラル・エレクトリック=GE)を設立しました。
エジソンは様々な異名を持ち、『メンロパークの魔術師』や『映画の父』とも呼ばれていますが、自らの発明の権利を守るため訴訟を厭わなかったことから、『訴訟王』の異名も持ちます。千以上の特許を持つエジソンには、特許とはほとんど縁のない我々凡人には理解できない、”何か”があったのかもしれません。
エジソンはメロン財閥などの後ろ盾で、アメリカの電力系統を寡占しますが、エジソンの直流送電方式に異を唱えたGEのエンジニアがいました。それが、二コラ・テスラです。テスラは、自身が考えた交流送電方式を提案しましたが、エジソンは受け入れませんでした。結局、テスラはエジソンと喧嘩別れして、GEを去ることになりました。そのテスラに救いの手を伸べたのが、ライバル会社のウェスティングハウスです。現在の送電方式は交流ですから、エジソンの敗北は歴史が証明しています。しかし、それに至るまでには、数々のドラマがあったようです。
ここまではほぼ史実ですが、この史実に基づいた(?)歴史サスペンスが、グレアム・ムーアによって書かれています。それが『訴訟王エジソンの標的』です。舞台は19世紀末のニューヨークで、実在の発明王エジソンと天才テスラが、頭脳戦を展開します。これは映画『イミテーション・ゲーム』の原作でもあります。この作中では、エジソンは権利や富に固執する”悪役”として描かれています。ちょっとだけ、エジソンに同情します・・・。
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