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ヤングのためのオジサン用語#2 とんでもハップン(8分)、歩いて10分

今回は用語ではなく、慣用句(決まり文句)を紹介します。とんでもハップンというのは、英語のnever happenを日本語風に言い換えたものです。意味としては、 真逆まさかそんなことは・・・、という場合に使います。元々は、 終戦後に進駐してきた米軍のカタコト日本語からきたものだとも言われています。

私も子供の頃に聞いたことがありましたが、自分で使ったことは殆どありません。私が子供時代には比較的新しい言葉だと思っていたのですが、歴史を紐解くと昭和25年ごろには、タイトル画のようにサザエさんの4コマ漫画にも使われています。この画は、ナウいお姉さんの言葉がフネさんには理解できずに、サザエさんに助けを求めようとするシーンらしいです。

「とんでもハップン!」のセリフの後には、”トッポイ”という言葉も出てきています。”トッポイ”とは、不良っぽくてキザな感じのするさまを指す当時の俗語です。たぶん、いまの後期高齢者世代にしか通じない半ば死語です。語源は、”素人しろうとなのにあたかも玄人くろうとのような振る舞いをしている”、つまり”くろうとっぽい”が変化したという説が有力です。

”とんでもハップン!”は、時間が経つと”とんでもハップン、歩いて10分”と言う表現に変わっていきました。これはハップン(=happen)が、日本語の8分と似ているためです。私の勝手な推察ですが、韻を踏んでいて語呂が良いので、マンションの宣伝などに使われていた”駅から歩いて10分”という文句が切り取られて使われたのではないかと思います。似たような表現方法は、英語にもあります。

「さようなら/また明日」を意味する慣用表現に、"See you later, alligator."(シーユーレイター、アリゲーター)と言うのがあります。アリゲーターはワニのことですが、意味の上ではワニは関係なく、単にレイター(later)とアリゲーター(alligator)で韻を踏んでいるだけです。"See you later, alligator."と言われた時の返しは決まっていて、"After a while, crocodile."です。この表現も、whileとcrocodileで韻を踏んでいます。つまり、「アリゲーターさん、また明日あした」と「クロコダイルさん、またあとで」がペアになっているのです。

ところで、色々と検索して調べている時に、『とんでも8分歩いて15分』というマンガがあることを知りました。このマンガでは、10分ではなく、15分と少し長めの時間になっています。でも一度も読んだことがありません。

マンガ『とんでも8分歩いて15分』の表紙

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