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超私的グルメ(27) とあるラーメン屋の普通のチャーハン

大学院生の頃、大学の近くに小さなラーメン屋さんが出来ました。いつもの通学路から少し離れた場所にあったので、開店当初にはその店の存在に気が付きませんでした。しばらくして、同級生から新しいラーメン屋が出来たことを聞いて、一緒に食べに行くことになりました。

その店名はシンプルに、『○○ラーメン』みたいな名前でした。暖簾をくぐると、かなり小規模な店で、カウンターが6席くらいの店だということがわかりました。カウンターの中には料理人(店主)と思われるオジサンと、その奥さんと思しき女性がいました。お昼のちょっと前でしたが、お客さんは我々以外には居ませんでした。

ラーメン屋さんなので、普通はラーメンを頼むのでしょうが、なぜか私はチャーハンを注文しました。同行した同級生は素直にラーメンを注文しました。ラーメンはすぐに提供され、チャーハンも手際よく調理されて私の前に運ばれてきました。チャーハンは見た目が普通でしたが、なにやら香ばしい良い匂いがしました。

このチャーハンには具材として、チャーシュー、ネギ、卵の他に干しエビが入っていました。この干しエビが、何とも言えない良い香りの正体だったのです。チャーハンの具材に決まりはありませんが、干しエビが入ったチャーハンは初めてでした。

チャーハンをレンゲで口に含むと、干しエビの香りが口に広がりました。またこのチャーハンは、お米がパラパラに炒められていて、塩コショウの塩梅も絶妙でした。心の中で思わず「ウメー!」と叫びました。このチャーハンが気に入って、その後、この店ではチャーハンしか注文しませんでした。

しかし、残念なことに看板メニューであるラーメンの評判が芳しくなくて、2か月程度で閉店になりました。この時以来、干しエビの入ったチャーハンには出会えませんでした。このチャーハンが私史上、最高のチャーハンでした。誰か、この味を再現できませんか?。

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