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№565 洞窟の比喩

一周回って今さらですが、クラブハウスを始めようか悩んでいる周回遅れも甚だしい、ちゃんタマです。こんばんは。
#クラブハウスってなんだ

さて。今日のお話しは
「洞窟の外を知らない囚人たちとは、ボクたちの事だよね?」というテーマです。

生まれてから一度も洞窟の外を見たことがない、
洞窟の壁に映される影絵だけが囚人たちの世界のすべて、
という寓話なのですが、現代にも共通するお話しだと思うので、
もし良ければ最後までお付き合い下さい。

洞窟の中にいるボクたち

洞窟の比喩というのは、
哲学者プラトンがイデア論を説明するための比験として考えた話です。
(国家7巻)


洞窟の奥に、囚人たちが手足と首を縛られています。

彼らは生まれてからずっと、
この状態で外を見たこともありません。

囚人たちは洞窟の奥を向いた状態で壁を見ています。

洞窟の入り口には炎があり、
そこが光で洞窟全体を照らされています。

囚人たちと炎の間には道があり、
その道に沿って低い壁があります。

ちょうどしゃがめば人が隠れるくらいの高さです。



この壁の向こう側に人がいて、
いろんなものをかたどった様々な紙や板を
壁の高さより上に出します。

すると炎に照らされて、囚人たちの目の前の壁に影が映ります。

例えば、犬をかたどった紙を出す時は、
同時に用意してあった本物の犬の鳴き声を響かせます。

音は洞窟内に反響し1番奥、
つまり囚人たちの目の前から聴こえているように感じます。

囚人たちとっては
目の前にある影絵が世界の全てです。

「本当は実体があって自分たちが見ているのはその影なのでは?」
なんて想像することもありません。

ある日、1人の囚人が洞窟の外に引っ張り出さ
れました。

太陽の光に照らされた世界は舷しすぎて何も見えません。

囚人は苦しみました。

しかし、徐々にその光に慣れると本当の世界を知ります。

そして、今も洞窟の中にいる囚人を哀れみ、今度は彼らを外に出そうとします。

「お前たち!洞窟の外には素晴らしい世界が広がっていたぞ! さあ外に出ようじゃないか!」

他の囚人たちに外に出ることを提案しますが
囚人たちの反応は想像とは違うものでした。

「気がどうかしてしまったのか?」
「もしかしたらこいつ俺たちを騙そうとしているんじゃないのか?」

この話から分かるように、
ボクたちはイデア (本質)を知らないのです。

そして、真実がそこにあると伝えられても、目の前の世界こそがすべてだという先入観から抜け出せないでいるのです。

本当にそうでしょうか?

ボクたちは囚人なのでしょうか?

この思考実験を考えた哲学者プラトンは、
洞窟の中にいる囚人はボクたち人間を表し、ボクたちが見ているのは
炎によってもたらされた影絵の世界にすぎないとしました。

そして、彼の師であるソクラテスのような賢者が洞窟の外に出ることに成功し、
ボクたちを引っ張り出そうとします。

しかし、ソクラテスはそのさなかに処刑されます。

それほどこの洞窟から外に出るのには強い抵抗があり、
イデアの存在に気づかせようとする賢者は自分たちを苦しめる存在であったということでしょう。

洞窟の比輪は現代社会の至る所で感じられる比除としても有名です。

例えば、学校での「いじめ」。

学生にとっては学校での日々が当たり前の生活であり、
「いじめ」は身近な問題です。

しかし、すでに卒業している人から見ると、なんと閉鎖的な、
特殊な社会を形成しているのだろうと感じるでしょう。

いじめによる自殺に対し大人たちはよく
「学校から逃げてー!」などと言います。

しかし当の本人は外の世界を見る余裕などなく、
ただ、今の学校という洞窟の中で戦うことしか考えられません。

洞窟から外に出ればなんてこともないことで
も、
本人にとっては今いる洞窟の中がすべてで、
そこから引っ張り出すのは容易ではないのです。

映画やアニメの主人公はよく、
当たり前の日常から一歩外に出て「冒険」を始めます。

周りの人々はそんな勇敢な若者の勇気を称えますけど、
「それならば私も!」とはなりません。

人は現状を続けるほうが楽ですし、
危険な目にも遭わず安全に暮らしていられますから、
いつまでも洞窟の中にいてしまうものです。

日常生活にも洞窟に映る影は
ボクたちに多くの影響を与えています。

日々のメディアから流れる情報は伝える側の色が付けられています。

洞窟の因人と違い、
ボクたちは疑うことができているとも考えられますが、
疑う段階にとどまっていたり、
時にとんでもない情報を信じてしまったりと、
なかなか真実にはたどり着けていないかもし
れません。

それでも毎日、与えられる影絵の世界にボクたちは興味津々です。

いかに疑うことが大切か、考えさせられちゃいますね。


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