飲み会で使える雑学① 『選挙投票』
そもそもギネスブックは飲み屋でのウンチク用に作られたのだから、色々な雑学があっても良いのだと、アリストテレサ(架空の人物)も言っている。
第①回目の雑学は、『選挙投票』。
2022.07.03更新
イベント参加用として記事を再構成。
選挙の投票所では
昔、選挙事務のお手伝い仕事をしてたので、あくまでも雑学の範疇でお話をします。そんな事ありえないだろと、思う分にはそれで結構です。納得できる方が納得するだけで良し。所詮飲み屋での話なんざ、そんな物ですぜ。
尚、自分の経験は、ある政令指定都市でのお話になりますので、投票規模の小さな町では、また異なる話になる場合があると、ご理解ください。
一応、どうしてそうなるかのご説明はします。
①投票所から見える時計は、すべて故障中の貼り紙をする
基本、投票所の時間は、国営放送のラジオの時報で管理されます。理由は、投票所の開始と終了の際の、厳格さと公平性を保つ為です。
例えば、学校の校庭の時計が、3分遅れていたとしましょう。そうすると、実際投票は締め切ったのに、その駆け込んだ時間管理もできない奴が、必ず文句を言います。
「まだ時間前じゃないか! 学校の時計は20時前だぞ!」
というのを防ぐ為に、必ず、目に見える時計は、動いていても、故障中の貼り紙になります。
ただしどこにも真面目な方はおりまして、何で壊れているのに放置しているのだとか即座に学校に抗議する、自称正義の使徒というのも大勢おりますので、その際は、以上のような説明をします。
例外としては、とても素人では貼り紙できない体育館の鉄筋の真ん中にある時計とかになります。できない物は仕方ないです。
②必ず最初の投票者の、住所氏名は控えて報告する
投票箱の中に、何も入っていないのを、確認してもらう必要があり、確認者としてお名前をお聞きします。
選挙の度に同じ方がやっている投票所も多い筈ですが、たまに別人になると説明が入り、結構な時間がかかります。
③クレーマーはどこにでも必ずいる
選挙事務で一番困ったクレーマーは、
「投票所が小学校だと山を登らないといけない。私の家の近くの公民館にしなさい」
という、一体お前は何様だという方です。投票の立会人は地域の偉い人がなりますので、遠慮なく丸投げします。
ちなみにこの方は、地域でも有名な方で、バス停を毎日10cmずつ自分の自宅に近付けていたそうですが、露見した際、何が悪いと開き直ったそうです。素晴らしいですね。
④選挙権があるのに、投票できない?
選挙がある度に、問題になる話。
さてここで勘違いを正しておきますが、選挙権はあるが、その権利で、投票できるとは限りません。選挙人名簿に名前があるかどうかで、決まります。
選挙人名簿に登録される条件は、その市区町村の当該役所で、住民票が作られて3ヶ月以上経過している18歳以上の人になります。
選挙人名簿への登録は、毎年3月と6月、9月と12月の、原則1日に定期的に行う『定時登録』と、選挙が行われる『選挙時登録』の2種類があります。
引っ越してから3ヶ月以内は選挙人名簿への登録はできないので、新住所では投票できません。しかし、旧住所に3ヶ月以上住んでいれば、旧住所で投票することはできます。
この、「作られてから」というのが肝でして、基本は、新しい住民票登録地で届け出を出して3ヶ月経過していれば、新住所、その間に国政選挙なりがあった場合は旧住所、というのはご理解できると思います。
では、次のような例は、どうでしょう。
A市から2月25日に転出届を出し、B市に転入届を出したのは3月5日だったが、転入日は2月25日とした。その上で、仕事の都合で、4月2日に、B市に転出届、C市に転入届を当日付けで提出した、というような場合。
このC市に転入した方が、5月28日に国政選挙の投票があったとして、どこの市の投票所に行けば良いか。
まずA市では、5月28日は、引っ越しの届を出した2月25日から3ヶ月以上が経過してますから、選挙人名簿はありません。削除されます。
B市では、定時登録日である3月1日には転入していた記録になりますが、住民票が3月5日に作成されてから、3ヶ月経過しておりません。よってB市も、選挙人名簿はありません。
C市に転入届を出したのは4月2日。3ヶ月経過しておりませんから、当然、選挙人名簿はありません。
なのでこのC市に転入した方は、選挙権は所有しているが、どこの自治体にも、選挙人名簿がないので、投票できない、という話になるのです。
これは、選挙事務をする場合、口を酸っぱくして説明される話です。選挙権があるなら投票できるだろうと思い込んでいると思いますが、違います。投票者名簿に名前があって、はじめて、投票できるのです。
こんな例は、滅多にないと思うかもしれませんが、各投票所に、毎回ひとりは、います。
またそれが、前の住所で投票できると思ったと、わざわざ電車で3時間とか車で数時間とかかけて来て、投票できないと知らされる。何で投票できないのかと、100%、ゴネます。最後は権利侵害された、訴えてやるまでが、お約束。半分は投票に来ないのに、何でこういうのを引くのだと、毎回担当者が泣いてました。
ちなみに選挙人名簿に載らないのは、その人の届け出が遅れたからという理由で、訴えても跳ねられます。2月25日当日に転入届を出していれば、B市で投票できたのですから。本来なら滅多に起きない例外中の例外なのですが、実際は、どこの投票所でも起きる、特大の面倒です。実際、B市で投票できるとわかっても、B市に行くにはC市から車で五時間とかだと、物理的に無理になるので、またゴネます。
選挙権はあっても、投票できるとは限らない。そう覚えておきましょう。またこの例は、同じ市内で区移動の場合でも住民票管理の役所が変更される以上、適用されます。
何故こんな面倒になるかというと、不正防止です。住民票をある場所で投票するというだけだと、選挙の当日だけ書類上だけ引っ越すという手段が横行してしまう為の防止策と言えば、ご理解も早いかと。
⑤投票用紙は、形状記憶紙
投票箱に投入すると、ぱっと開いて折って投票箱に投入する前に状態に戻ります。これは素早く開票作業をする為です。そうでなければ一枚ずつ広げないとならないからです。折り目を付けて渡すという発行機器がありましたが、昨今見なくなりました。
尚不在者投票分は、長い間小袋に入れられてますので、完全にぴったり折れ曲がり、形状は元に戻りません。なので開票した際、あれが不在者投票分だと、すぐにわかります。
⑥国民審査程、事務上邪魔な存在はない
憲法で定められた話とはいえ、長年お手伝いしておりますと、国民審査程、税金の無駄はないような気がします。
自分の個人的な感想ですが、正確に国民の意思が反映されているとは、到底思えません。
わからないという棄権も多い上に、百姓一揆の傘連判のように丸くなっている訳でもない。もちろん、最高裁判所の裁判官の経歴をきっちり読み、きっちり審査する方も大勢いると思います。結果的に数字は発表されますが、では開票所で、どのように集計されるのか。
国民審査は、基本は白紙投票で、全員辞めさせなくても結構です、という意味になる。辞めさせたい裁判官の名前の上に、『✖』を書くのが基本。
だから棄権は全員残留の意味になる。だから明確な意思による危険票は、投票箱の中に入れる訳には行きません。
国民審査用の投票箱が開けられますと、地域差はあると思いますが、大別した仕分けが行われます。
まず、『全〇』と『全✖』。この二種類が、一番多いから。
全✖は、本当に考えていたのかと思う程の多さになります。全〇が一番多く、何も記載せずに、ただ用紙を渡され、ただ投票箱に入れるだけ。まるで何かの儀式祭典のようですね。意思は表示されているとはいえ、本当にそれで良いのかと思います。それを衆議院選挙がある度に、千万枚単位で。それを一定期間、保管しなければならない。無常に思えます。
次の集計が、『右端✖』と『左端✖』。
何か書かないといけないと思うのでしょう。右が左の端の裁判官ひとりだけに、✖が付いた状態の物です。これがまた多い多い。人間の心理が動いた結果でしょうが、傘連判ではないから、このような人身御供が行われてしまうのですね。
同じ理屈で次が、『右端2✖』と『左端2✖』。
ひとりだけではなく、端の2人が被弾した状態の物です。
ここから先が、また地獄。今までの物は、すべて輪ゴムでひと括りにできる票です。
考えても見てください。きちんと考えて投票した方の票。真ん中ひとりだけが✖。あるいは端✖に、真ん中2人に✖。その他諸々、その集計、全部、手作業なんですよ?
げんなりしませんか?
単純な作業とはいえ、それが万を超えるのですから、名前を判別するだけの投票とは訳が違います。だから、非常に、時間がかかる。
衆議院選挙がある度に、この地獄があるのですから、開票の終了時間が、衆議院選選挙の時だけ、遅くなる。
終電前に解散できる地域は良いでしょう。ですが、まず、無理。
選挙の開票担当からはまだかまだかと白い目で見られ、三々五々と随時解散できるのはまだマシで、不正をさせない為にと、すべての担当を帰らせない開票所もあるのです。
そして立会人の側からも、まだですかと催促される。おまけにそれだけ必死にやっても、テレビの選挙速報等では一切触れられない。
果たしてそんな仕事に価値があるのかなと、毎回思う次第です。民主主義には必要な手続きなのでしょうか、もう少し、何とか効率化できないものでしょうかね。
⑦一番大変なのは、職員
選挙当日だけではなく、前日からの会場設営、朝の5時には会場入りしなければならないから、大勢は役所に泊まり込み。
そして6時から20時まで投票所に。投票終了と当時に会場の片付けと挨拶と投票箱の運搬、その後、開票。
夏なら、普通に死ねます。
やればやるほど、辛いのはわかりますから、毎回担当するという方が減る。本来は選挙が仕事の公務員ではないから。
そうなると、街の顔役から頼まれる自分のようなのが、必要となってしまうのです。
早く電子投票、実装してもらいたいですね。
飲み会で使える雑学は今後シリーズ化し、自分の息抜きとして作成されます。長い目でお待ちください。
(終)
#私たちの選挙
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