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建築と林業の間 - 設計者のためのウッドショック。を見て

VUILDのオンラインイベント。ちょうど話題のウッドショックということだったので、聞いてみた。チケット制のため、リンクは出せないらしいからWebサイトにものってないけど、一応。

話は非常に興味深い内容だったのだけど、なんかそれよりも自分の考える、知っている世界との違いが大きくて、この業界の問題の根深さを感じた次第。

木材業界は複雑

違うって言っても明確に違う、みたいな感じじゃなくて微妙に違和感を感じる、みたいな。

これは話の中でも出てきたけど、おそらく同じ業界内でも、場所によって、人によって状況が違いすぎるからなんだろうと思う。例えば山によってスギがあるのか、ヒノキがあるのか、はたまた広葉樹か。あとはどれだけ育っているかでも違うし、近くに製材があるのかないのか、どういうお客さんがついているか、ただ数を出す山と、品質に拘る山では考え方も違う。

だから問題に対する考え方も、アプローチも変わるのだろうと、そういうことなんだろうけど、おそらくVUILDも自分もどちらかというと川下側にいるんだろうから、本当はこの辺をみんなが同じレベルで理解しておく必要があるんだろうな、とは思う。

だからちょっと怖いのは、話の中では結構断言している場面があったけど、実際ぜんぜん違うよみたいなこともあるので、変に誤解する人がいないといいなと。

単純に供給量と需要の話ではない。

話の中で授業と供給の話が出てくる。一般的に市場経済は需要と供給のバランスでというのはそうなんだけど、こと木材林業業界においてはこの限りではない。というよりも、木材という素材は生産から加工までのリードタイムが長すぎて、一概に需要が増えればよいか、供給が増えればよいかというとそんな単純なものではない。この辺に言及がなかったのは残念。

野菜と比較しているシーンもあって、まぁそれは確か自給率の話だったとは思うけど、数ヶ月とか1年のサイクルで回る農業と林業を比べるべきではないと個人的には思う。林業と農業ってなんかお隣さんだし、一次産業だし比べたくなっちゃうんだけど、林業ってめっちゃ複雑(リードタイムが長すぎて、関係者多すぎという意味)で、現代のスピード重視の我々の生活に本当にあってないんよね。

そもそも消費者は木材なんて興味ない

1番強く感じた違和感はここ。消費者に対してある程度は木材をしってほしいみたいに言ってたと思うんだけど、消費者はそんなこと知らないよね。今だって住宅の殆どは木造だけど、その中でいわゆる自然素材で木のぬくもりを感じる家が良いって人はどれだけいるのか。

もちろんそういう家はそれなりにはあるけど、都市部に至ってはほとんどマンションでしょ。郊外だって、建売住宅のなんと多いことか。

結果としてなのか、設計する側だって木造に関する知識がある人のほうが少数派という状況。その中で、消費者に木材の知識を持ちましょう、興味を持ちましょうは無理があるかな。

設計士はもちろん持つべきなんだけど、これだけ建築という長い歴史がある業界で、そういう状況になってしまっているのは、個人の努力とか資質の話ではなくて、もっと構造的な問題なのではないかと思ったり。 

林業も高く売れれば良いかというとそういう話でもない

あと木材の適正価格という話。これはホントどこが落とし所なんだとは思うけど、林業を古き良き時代の価格帯に戻すとかどうとかが問題なんじゃなくて、林業を生業にしている人にきちんと給料出すってのがまずは重要なんでないのというのが私の意見。そうじゃなくて、製品自体の適正価格を探ってもあまり意味はない気がする。

実際、若い人がいないいないって言いながら、いざ誰か入っても安月給でこき使ってやめていく。そこに疑問すら持たない。これは林業に限らず建築もだけど、歴史が下手に長いから、若いうちはこんなもんだとか、丁稚奉公とかくだらない考え方が染み付いてる。

実際林業って今は資源があるから、給料払える体力はどこもそれなりにあるはず(みんなそうは言わない)。しかも木を切る以外の広報とか、仕組みづくりとか、むしろ今人に投資して、新しいことやっていかなきゃいけないんじゃないのかなと思う。これは製材も同様。

最後に

とまぁ、それなりに詳しい人でもどこに問題意識持っているかでだいぶ受け取り方が違うのだけど、とにかくこの業界をなんとかしないといけないという方向性は同じなので、私も色々とやっていこうと思う次第です。


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