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痔と風邪から口コミを考える

今週、痔になった。
過去にも何度かあっても軟膏を塗ればすぐに治るものだから、病院に行ったことはなかったけど、今回はいつもと違う違和感を感じたので、Googleで検索して家から歩いて10分ほどの肛門科に行ってみた。
口コミを見ると、3.6の評価。口コミも悪いものは"先生が高齢でコミュニケーションが取れない"とか、"専門的なことを知らない"と書かれていたが、絶賛している人もいる。はて、どんなもんかなぁ?と思いつつも早く解決したかったので行くことにした。
混んでいたら嫌だなぁという不安は無用で、着いたら誰もおらずすぐに案内された。
先生はそれはそれはとてもやさしそうで紳士的な雰囲気。そんなコメントは口コミには一件もなかったなぁなんて思った。穏やかに話を聞いてくれて流れを説明してくれた。ほいじゃ、ここに寝転んでパンツになってねと言われお尻を出したらもうあとはされるがままだ。ブスッと何かが差し込まれて「ヒーッ」と声が漏れる。
診察は一瞬で終わった。あなたの症状はこうだから、こんな解決策があってね、と言われその場ですぐに手術することになった。痔の手術は日帰りでできるってのはわかっていたけど、その日その場ですぐに手術することになるなんて考えてもいなかったが、そんなに大変なアレじゃないし夜にはお酒も飲めるよと諭され手術することに。所要時間10分程度で全てが完了した。
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今後の話を一通りし終わったときに先生は「これ持っててね」と言ってカードを差し出してきた。表は病院のカードだったが、裏を見ると先生の自宅の電話番号が書かれていた。「夜は病院閉まっちゃうから、何かあったら僕のお家に電話をしてきてね」と言った。

びっくりした。こんな経験は初めてだ。小さな町医者とはいえ、大都会渋谷でこんなコミュニケーションがあるのか。なんてやさしいんだろう。いや、逆に夜に何か肛門が爆発する危険性でもあるんか?なんて考えてしまうくらいに想像もしていないやさしさだった。
ご飯をおごってもらうとか、お花をもらう、とか以上に愛ある行為のように思えてむちゃくちゃ興奮した。笑
帰り道、お守りをもらったような気分だったし、この話をその後に会った人たち全員にし続けたくらいうれしかった。

痔に夢中になりすぎていてすっかり気にもしてなかったけど、そういえば、風邪も引いているな、私。と、風邪をひいて3日目くらいの今朝声が出なくなって初めて気づいた。
こじらせる前にいつもの病院に行こうと思って何時からやっているか確認しようと思ってGoogle先生を開いた。

そしたらまさかの"閉業"の文字。

マジですか。。コロナの影響なのかなぁ?なんて思っていて口コミを見たらご冥福をお祈りしますのコメントが。渋谷に住んで4年、風邪を引いたら必ずお世話になっていた耳鼻咽喉科の先生はご高齢だったけど、まさか亡くなるなんて考えもしなかった。とても厳しくもグイグイくるところがおもしろいと感じさせる先生だったので、私はいつもなんて言われるんだろうとドキドキしながらも、結局はすぐによくしてくれるから信頼していたし好きだった。他の方のコメントを見ていると同じような言葉やエピソードがどんどん出てくる。笑

「花粉が飛び始めてから受診した際には「遅い!!」と一喝されデコピンをされたことも今となっては良い思い出です😅」

「子供のころからずっとお世話になってます。確かにめちゃくちゃ怖いんですよ。(笑)でも、経験と常に勉強をされてる方ですから腕は確かです」

「ズバズバ言ってくる診察スタイルに最初は怖いと思っていましたが、所々に患者への愛情が感じられ、逆に安心感を覚えるようになりました。」

「昔、咳が止まらずでも仕事が忙しくてだいぶ悪化してから病院へ行き「仕事と自分、どちらが大事なのか!」と怒られました。肺炎手前の気管支炎でした。それ以来少しでも調子悪くなったらすぐ駆け込むようになりました。」

「うがいを忘れたり、薬を休んでうっかり喉を腫らして来院した際には大きいため息をつかれた時には思わず笑ってしまいました」

「口が悪い中にもユーモアがあって笑ってもくれる、タチの悪い症状の時は親身になってくれる、もちろん治りも良い。」
病院の口コミページより抜粋

そして、どの口コミも最後にはご冥福をお祈りしております。の言葉が。病院のGoogleの口コミ欄がこんなに患者からの愛と感謝で溢れているのを初めてみたし、同じような気持ちなので涙が出てきた。これはもう評価ではなく、心の交換スペースだよなぁと。

初めて行く時に見たこの病院のGoogleの口コミ欄は星が★★★★★と★の人たちの両極端な口コミが展開されていて、私にとってはそれがとても新鮮でおもしろかったから、そんな評価をされる先生ってどんな人なんだろうという好奇心で通い始めたのがきっかけだった。

先生のことを信頼をしている人は手厳しいことを言われてもそれが自分のためであると捉え、独特なコミュニケーションもその先生だからこそと理解した上で口コミしているように見える。一方、低い評価をつける人は病院の先生というものは患者に優しくする"べき"であり、自分の中の正義や常識とは違うと思うことは受け入れられないから否定的な口コミをする人が多かった。

食べログも訴訟関連で最近また何かと話題だが、結局のところ人の評価を参考にするというのは一つの手段としては持っておくのはいいかもしれないけども、そこに真実や自分の価値は存在しないと思うのがいい。

肛門科の先生がものすごく紳士的で優しくて丁寧だったこと、患者の98%が感じていても書き込みまではしない。医者の仕事は患者をよくすることであり、評価を書き込んでもらうことでもないし、逆に患者も体を良くするために通っているわけで、書き込みをすることまでが義務ではないからだ。誰かの感じた本物の感想という真実は必ずしも100%そこに存在はしていない。

だけど、私たちは何かを決めようとするときにすぐに人の評価を参考にしがちだ。人と自分の考え・価値・アイデンティティは一人一人全く異なる。どんなに人気があるお店だろうが予約が取れないお店だろうが、自分に合うかどうかなんて、実際に行かなければわからないし、その前に自分が何が好きで何が嫌いかをわかっていないとその判断すらできない。

耳鼻咽喉科はまさにそのいい例だった。あの口コミを読んで人の意見を見て怖いからと言って来なかった人は名医に会うチャンスを失ったかもしれない。優先順位で怖い人が嫌というのが最優先であればその情報は役立つかもしれないが、本当は治療を最優先したいのに怖いという文字を見て来なかったのであれば、わざわざ口コミを読んで損をする機会を得たことになる。

人がなんと言おうと、自分が大事にしたい価値観をもとにした選定基準があるだけで、出会いの質や千里眼は自分にとっていい方向性で養われていく。失敗したくないからと言って人の意見に頼ることは、自分の可能性を狭める、自分で自分の首を絞めることになるかもしれない可能性を孕んでいることを意識していきたい。

最近ではもう人の評価によって自分の感性を失いたくない気持ちから、見知らぬ飲食店に行く時はなるべく情報を入れないように気をつけている。評価の点数も星の数もどんな料理が出てくるかとかもなるべく見ないようにしているし相手にもどんな店なのか言わないでくれとお願いしたりしている。その方が自分の感覚で楽しめるから。

あれ、痔の話をしていたのに、なんで最後こんな話してるんだろ。笑
熱で頭もちょっとおかしいから文章として成り立ってんのかももうよくわかんないけど、勘弁してくれ。

最後に…
きくち耳鼻咽喉科の先生、これまで本当にありがとうございました。先生の治療のおかげで何度も救われました。ご冥福をお祈り申し上げます。

⁠⁠びょ、びょういん行かなきゃだ!w
こんなnote書いてる場合じゃなかったわw
ほんじゃ!

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