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あの人のためならいくら出してもいいなぁと思える関係

日曜のお昼頃に知り合いのAさんからこんなメッセが来たのです。

こんにちは。急なのですが、今日の晩ごはんはもうご予定ありですか?今晩は●●さんの高級業態が特別コースのみ営業で、夫婦2名でお伺いする予定でした。
ところがうちの妻が今朝から体調不良なもので、もしよかったら、田さんとどなたかお二人で、お店に行っていただけたら嬉しいです。
そして急なお願いですしもし失礼なければぜひ、お代金こちらで持たせていただきたいと思います。ご検討お願いできるとありがたいです🙏

こんなとき、どうしますか?
かんたんなことと捉えることもできるし、とてもむずかしい選択でもあります。それは自分と相手の関係性だったり、お金の問題だったり、今日の夜という突発的なお誘いで相手も必要になることだったりの絡み合いがあってどう進められると気持ちがいいんだろう…とか考えますよね。

私とAさんの関係はかれこれ5年くらい。仕事で知り合い飲食業界を盛り上げる!飲食で働く人を応援したい!そんなところが共通したのと、さらに大きく共鳴しあったのは何より人に向き合うスタイルがとても合致しました。相手のことを思いやり、その人に合わせたタイミングや手法で提案し、顧客になった後もずっと寄り添い続ける。顧客にならなくても相手を想い続ける。そんなスタイルがとても好きな方で、とにかく実践し続けている。そして何より人の心の機微に気づき配慮ができるとても敏感な方。それが信頼になり愛されているし、私も実際独立した時や節々にAさんから助けられてきました。ジャイアンツが優勝した時も記念のグラスを「おめでとう」と言ってプレゼントしてくれた。泣ける。

何よりいつも本当に美味しいものが食べられるお店とそのお店のスタッフを知っているので"ただ美味しい"だけじゃない接客の良さを感じられる出来事が多かったのです。

そんな体験をたくさんさせてきてくれた方からのお話。こんなのもう「問答無用で受けるし、お代だっていらないYO!」とすぐに答えは出ました。楽しみにしていたお店の予約、大事にしてきた店との関係があるからこそキャンセルなんて絶対にできない。その気持ち、痛いくらいにわかります。だからこそ自分が行ってあげたいなぁ。そう思いました。はじめに系列店の高級業態と書かれていたしあのお店だから客単価は1万円以上は行くだろうなーとは思ったのですが、もうこれまでに彼から受けた恩恵はその金額では測れないくらいのものだと自信を持って思えたのでそれもなんだかストンと受け入れられました。そもそも私もあのお店行ってみたいと思っていたんだった!とかの条件が揃って即レスで「行きます!」と返信しました。お言葉に甘えて…という発想はなかったです。

金額と予約時間を伺い、すぐに一緒に行く相手を見つけました。店の代金は私がもつ気持ちでいたので相手もすぐに了承してくれました。せっかくだし増税前だからという言い訳で買ってあまり着ていなかったAPCのワンピースでも着て行こうかな。ペリーコのパンプスも履いておしゃれしちゃおう。なんだか楽しくなってきました。

夕方になり店に着き食事をコースでたらふくいただいて大満足。季節の食材をたっぷり使ったお料理はそれはそれは美味しくて、芳しくて、久々に飲んだ赤ワインも素敵なマリアージュでスタッフさんとも楽しくお話ができ、とてもいい時間を過ごすことができました。

21時頃になり、はっ!今日は日曜日だ!グランメゾン東京の放送がもうすぐ始まっちゃう!帰らなきゃ〜と思ってお会計を申し出ると「すでにAさまからお代を頂戴済みでございます」と。

そうだ、こんな素敵なメッセージを入店前にいただいていたのでした。

ご快諾うれしいのと、おじさんらしい見栄を張ってしまい、勝手ながら本日のお食事をお代済みにしてしまいました😅楽しんでいただけたらありがたいです🙇‍♂️

ご快諾うれしいという私の行動に対しての感情と" おじさんらしい見栄 "というファニーな表現、お代済みに"してしまいました"という一方的な感じでやっちゃった感の醸し出し、もう完璧すぎません?????コミュニケーションの快楽レベルが高すぎてクラクラしました。。

お代はいいですよ、私自分で出しますよとお伝えをしたのだけれども、こんなに気持ちを込めた粋で可愛さも溢れるメッセージと配慮ある行動。もう、痺れて痺れて…。こんなことができる人が世の中にどれだけいるんだろう。私はなんと素敵な人とお友達でいさせてもらっているんだろう。

一緒に行った友人にも見せたら、同じく痺れて…数秒後には「俺も使う…」とパクリを宣言。う〜ん、簡単にできることじゃないと思うんだよなぁ。

何もなかった日曜日が、一つのメッセージで大きく変わった、そんなお話でした。

残る多幸感の余韻が食べた鴨ジビエの風味と絡まってまだ私の中に残っています。

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