【ショートショート】不思議な瞬間
通勤通学ラッシュや電車移動の際どうしても、
朝から「おしくら饅頭」になってしまう。
さて、暑いし臭いし時に寒いし
お腹痛いし足踏まれるしなどなど、
毎日それほどお金を掛けないで
体感できる日常のアトラクションの一つである。
もちろん、このアトラクションは車内だけではなく、
構内でも繰り広げられる。
ホームの端を歩いていると時に落ちそうになる。
これは命をかけたアトラクションである。
稀に体当たりしてくる方もいる。
反対側のホームから見ていてホームギリギリで
人と人がぶつかると冷や汗が出ることがある。
毎日、味わえる電車の扉が開く時に本人はわざとではないのかもしれないが体当たりしないと表に出れないらしく鞄の角を人に押し当てて進む人。
最近は少なくなったが、
突然気の狂ったように振る舞い、
扉につっこむ人もいる。
そんな中、奇跡的ヒトにぶつかることなく進むことができることがある。
あ、ぶつかると思うと人が避ける。
あ、足を踏まれると思うとその足が避ける。
不思議である。
中々、味わえない瞬間だ。
何か分からないが上手く進める。
特に何をしたわけでもない。
本来はこれが普通なのかもしれない。
しかし、
なぜこんな窮屈な移動をしているのだろう。
人生の大半を移動アトラクションに費やしているのは間違いないようだ。
たまには不思議な瞬間もあって良いのだと思う。
よろしければサポートお願いします。クリエイター活動費に使わせていただきます。