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【小説】あるある派遣社員③完全紹介制

第二章:完全紹介制

登場人物
主人公:山野五郎、派遣社員、35才、普通の社会人
現場に入り顧客の望むものを生産するのが仕事
(派遣会社を紹介してもらう。)

紹介者:田野総仁
派遣会社に人を紹介するのが仕事。
山野の叔父で早期定年で引退し、友人に誘われ人材のリクルートをフリーで行なっている。

田野
「五郎最近何してる次の仕事決まったのか?」

山野
四半期になると仕事の連絡が叔父から来るようになったのはここ2〜3年ぐらいだろうか?今はメールやアプリで仕事の問い合わせが多い中にしては珍しのかもしれない。

田野
「前回も良い仕事だったんだが断られてしまって私は悲しいよ。」

山野
「申し訳ありません。丁度、その時に仕事をしていました。」

田野
「今回はどうだ?」

山野
「いくつか探していますが、比較検討させて頂けると助かります。」

田野
「勿論。生活もあるから比較検討をするために登録に来てはどうだろう」

山野
「登録⁈」

田野
「完全紹介、能力分析、現場に合わせた研修有り、が今回のご紹介する派遣会社になります。」

山野
「仕事は⁈」

田野
「多分あるでしょう。再開発が各所で行われていてどの業界も右肩上がりだよ。」

山野
「・・・登録だけなら」

田野
「決まりだね」

山野
「・・・・・」

田野
「パンフレット渡しておくね」

山野
そう、叔父の紹介で「グランドゴールデンスタッフソリューションネクスト」(GSN)の派遣社員を始めることになった。

派遣会社としては大手、納税額にNo.1、給料も高いと言われている。

理由としては広告費を掛けないで口コミによる100%紹介制あることコネクションでしか入れない離職率が低い理由でもあるらしい。福利厚生がずば抜けて良いらしく、スタッフ育成のためにお金を掛けていて、「スペシャルコミニケーションプログラム」(SCP)が学べると言う如何わしいプログラムもあると書いてある。

因みに女性には「花嫁修行」というコースもあるらしい。

強制的に業務着任前にSCPを受けることになっている。

紹介者等の人間関係によってのスタートアップランク制度なるものがあるが、これは案件決定時に確定されるらしい。これは、どのランクになるかによって同じ仕事をしたとしてももらえる給料が10万から15万近く変わることも記載されていた。書き出しが「理不尽と思われる方も多い思います・・・あなたの人生の今の成績と思ってください。」それを補う為に研修制度とカウンセリング制度が強化されたようだ。

35年生きているそれなりに自己啓発など良いのだが大体その時で終わる。

気合いで人々を立たせる「気合いで起立」という研修を受けたことがある。

そのお陰で経営者の知人もできることもあるが、むしろ高い金出して「出合い系」各業種の営業方々の「リスト」に載せてもらいに行く感じだった。男女問わず積極的な方が多かった。

今回の研修は何をするのか楽しみだ。

次回につづく・・・


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