見出し画像

【超々短編小説】魔術師

彼はタロット占いを趣味でやっている。
その界隈ではよく当たると有名だ。ただ、彼はそれを仕事でやろうとはしない。本業あっての副業であるとゆう、本音は多くの人の人生を占うのが大変だとゆうことらしい。

人は彼を「魔術師」と呼ぶ。
恋愛を占えば運を引き込み、事業においては最悪の状況を好転させる。
まるで、とある軍師のようだ。彼は道、或いは可能性を示しているにすぎない選ぶのはその人と相談者に伝える。

今日は喫茶店で占いをして最後のお客さんが帰ることになった。
「いつもありがとうございます。」細やかな配慮と礼儀を忘れない「魔術師」彼の容姿は中性的なこともあり女性に人気だ。まるで指を鳴らせば「花吹雪」が現れそうだ。

自宅に戻りテーブルにタロットカードを並べメンテナンスをする。
曲がりはないか、色あせていないか、傷がついていないか。
曲がりがあればただし、色あせていたり、傷がついたら補修をした。

かなり、不思議な男である。物を大切にすることは非常に大切だと思うがやりすぎ間は否めない。「魔術師」本人が満足なら、いいとも思うが、不思議なことに友人が一人もいない。友人と言えば初めに購入したタロットカード「15398」と呼ばれるセットだった。

その中にある「高魔術師」それがこの中性的な男の友人である。魔術師はその高魔術師に命を救われた経験が少なからずある。早速その高魔術師を使い魔術師は明日の出勤ルートと占いをする店の選定を行った。

今回はバスと電車の組み合わせが選定された。いつものルートは電車とバスである。翌日高魔術師を使った結果がでたいつもの電車は脱線事故を起こし開通までに時間がかかるようあった。

毎回驚きを隠せない。その夜、高魔術師が彼の部屋に現れた。「やあ、やっと実体化できた。」高魔術師はそう魔術師に伝えてきた。魔術師は驚きはあまりなかった。友人が自分の家を訪ねてくる感覚である。

「さんざん助けたのにこの家はお茶の一つも出ないのかい。」高魔術師は続ける。慌てた魔術師はすぐさまお茶を用意した。茶菓子は甘いクッキーとお茶はダージリンティー。高魔術師は「うまいね」と満足そうだった。

魔術師に「君もカードになるかい。かなりの運もあるし良いカードになると思うよ。」高魔術師は伝えた「まぁ普通に考えてはい分かりましたとかそうですかいいですよなんて言えないよね。」魔術師は「お断りいたします。」まあ普通の反応だわな。高魔術師はおもった。

このことが起きてから彼の占いは一切当たらなくなった。高魔術師は「カードで人生決めるのは3か月禁止。占ってもあたらいないからね。」ひどい話である人の趣味をとるとは、魔術師は副業を失ったはずだったのだが、運は強いわけだ。

たこ焼き屋の手伝いをしていたら人気店になってしまった。運はいいわけである。ちょっとスパイスのきいたカレーの開発を頼まれれば売れる。アロマオイルの調合を頼まれると売れる。

何をやっても運がいい。恋愛アドバイザーなんてやってみたらうまく行ってしまった。もはや何をやってもうまく行く、そう魔術師は本物だった。ただ彼は友人はいないし結婚もできない。夢は特にない。ただ生きている。

むなしく聞こえるかもしれないが、彼は一向に困らない。人の幸せはそれぞれである。かれは、タロット占いをやめることに名なったが、特に困ることはなかった。そうなぜなら彼は「魔術師」とよばれた人間である。

幸せをクリエイトし人々を幸せにする。どこにでもいて、どこにもいない夢のような存在。どんな人の中にも眠っている「夢」とゆう存在である。

運命がカードで決まるとは限らない。「願いを強く」「夢」を持ち「必要な努力」を惜しまなければ手に入ると言われている。そう、魔術師はすべての人の心の中に眠っているだけなのかもしれない。

よろしければサポートお願いします。クリエイター活動費に使わせていただきます。