見出し画像

【超々短編小説】仕事の勇者

リーダーを超えた変態的力を持つ人のこと、業務を感覚で行うことができますがなく素晴らしいリーダーシップを行うことができる。

とある社員は業務を行うのに勇者を求めている。

実務の人々は淡々と仕事をこなすことができる人を求めている。

誰一人として責任を取ることはしないそんな職場に彼は呼ばれた。レベル1の新規入場者としてだ。

闘技場、(200人はいる会議室をそう呼ぶ)とスーパーテレワーク会議に300人入っている中で、突然彼の名前が「今度パーティーメンバーの勇者として配属になりました。勇者さんです。この業界のことは詳しく彼に任せておけば問題ないです」

世の中の勇者業界ではあまり聞かない話だと思うが、レベル1の新規入場者は驚きのあまり絶句した。そもそも勇者とかの話は聞いていない。そんな話は誤解だしそんなことがあったら断ってくれと伝えてあった。
新規入場者を知っているメンバーは驚いた。
「そもそもなんであいつがリーダなんだ⁈」
「女王に仕えてた腰巾着じゃなかったのか?」
「あいつじゃダメだろう、もしかして発表している勇者やめるのかなぁ、そうか、場つなぎのやつか」

会場が「今度の勇者は現場のことを全て精通している。」「この混沌とした魔族が多くいる、魔王を倒して業務を平定してくれる」と思うものは誰もいなかった。そもそも世の中魔界である。

むしろ「誰そいつ」である。

世の中どんな世界でも、「家柄、人脈、抑圧」である。これが基本であり真理である。

上位層で働く勇者たちは家族の付き合いより、パーティーでの駆け引きいわゆる政治に加担する。勇者だって貴族になりたいわけだ。
魔族なんかは義勇兵や兵隊たちが潰してくれるし、国民は勇者がある安心感だけで生きている。

毎日駆け引き、勇者同士の駆引き中には足を引っ張る者さえいる。

基本どんな組織でも上から腐るがしっかり腐っている。性格もそうだが頭そのものが考え方が腐っている。パワハラ三昧である。

勇者たちに忠誠心はない。お金で動くし、金が手に入るならすぐに寝返る。実に人間らしいわけである。

「理不尽だ」と思う方、分かりますよ、ただ、勇者の言葉を借りるなら「合理的」な至って心優しい配慮である。と言わんばがりだが、実際は目の前のことに追われているだけなのである。

日々国王から言い渡される職務、コロコロ変わる指示、義勇兵を集めればやれ食料が足りない、武器が足りないなど、正規兵に関してはその職にあぐらをかいて仕事を丸投げしている。面倒を見ている貴婦人たちはお茶をしながら政治を行い駆け引きの真っ最中、たまに勇者を呼びつけて自分が打ち壊した花瓶をなんとかしろとまで言ってくる。

そんなこんなで、レベル1の新規入場者は決して勇者にならないし、なれないわけである。

ところが、自分を守りたい別の勇者や貴族に目をつけられ彼はすりつぶされることになるのだが、そんな彼もただすり潰される訳にはいかない。

当然、お金は変わらず危険な仕事や交渉ごとを丸投げされながら大変なことが起きてしまった。

不正を見抜いてしまったのである。

さて不正を見抜かれた人々が取る方法は2ほどある。無視するか、攻撃するかである。

強制的に何の権限もない勇者にされてしまった者の周りには悪魔の所業と思われるような仕打ちを始めた無視、いやがらせ、妨害、時に迫害、仕事がうまく行かなければ、徹底的に体が震えるまで嫌がらせを受けた。

使い捨て勇者は正義を行うことにした、迫害を受けるものの正義ほかの勇者からすれば考えられないわけである弱者がバカだと思っているものが反撃など考えないわけである。

新規入場者、無理やりみんなの隠れ蓑の勇者でさらに不正を見抜いた彼は何が待っているか、それは社会的な「死」であった。

精神的に追い詰められ凌いだも手前まで行った、世間に作り上げられた勇者は、ついに不正を暴くことに成功し200人程の勇者や貴族が人物が社会的な制裁を受けることになった。彼らは何が悪いのか分からなかったそうだ。本当に腐っていたのである。

そして、最後にはレベル1の勇者は生活の場を月に移し,世の中を支配するレベル1の魔王になった。地球圏は魔王が裏から支配したことにより幸せになったそうな。

結局は仕事の内容を理解する前に人間関係を理解しその不正のところを炙り出したことが、他の社員の好感を呼び仕事をすることはなかったという。

よろしければサポートお願いします。クリエイター活動費に使わせていただきます。