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勝手に独断と偏見でずうずう弁について語る話

ハァイ無職だぞ。今回はそれはどうでもいい。
プロフィールに書いてると思うんだけど、ぼくは生まれも育ちも住みも秋田で、その中でも南部の盆地という自然のパゥワァーの影響をモロに食らう地域に住んでる。まあ今年は超珍しくて、今日ようやく初雪が降ったんだけどね。

で、もう取り壊されてしまったらしいんだけど、故・矢口高雄先生のご実家が山の集落にあった。
釣りキチ三平の主人公の三平三平くん、良質なお国訛りショタだ。(突然オタクになるな)
そんなわけで、今回は物書きさん漫画描きさん声活動者さん向けのずうずう弁って語尾に「だべ」とか付けときゃ解決でしょ?キャラメイクイージーモードwという人たにむけてもうちょいそれっぽく見せる方法をなんとなく書いていくよ!エセ関西弁を笑う関西人もまた笑われることがあるのだ。

ぼくが秋田の住みなので秋田弁をメインに据えていくから東北の他の県の訛りの詳細を知りたいときはググってほしい。あ、アクセントは東京型だよ。何か特別なことあんの?っていう話だけど、「だべ」を語尾につけるのもまあ間違いではない。全ての場合において適切かと問われたら「不自然になる場合もありますが……」となるけど、間違いではない。間違いではない(3回も言うな)が、咄嗟の一言を訛らせたり適切な箇所に濁点をつけたりだけでだいぶそれっぽくなる。まずは咄嗟に出がちな秋田弁を見ていこうな。

早速は?という顔をされるかもしれないけど、「あい!」というものがある。「あら!」という言い回しに近い感じで登場することが多い。そこに載せる感情は様々ある。秋田弁はわりとフィーリングだ。
で、なんだ簡単じゃん!と思った人、確かに書く、描く人には簡単なんだけど、声出してる活動の人は要注意。この「あい!」、表記はシンプルだが、なんとこいつ、「い」の音に若干の「え」が潜んでいるのである!
だから普通に発音すると一発で秋田弁にわかということがバレるんだけど、口をあまり開けずに発音するとそれっぽくなる。ぼくが「あい!」というときは口三分開きで唇と舌がちょびっとしか動いてない。
「あい〜」と伸ばすときもあるけどこいつも「い」のなかに「え」がいる。秋田弁は基本的に唇と口の中動いてないから曖昧母音多すぎ問題になってる。
あと似たようなもので「あい(や)しか!」というものもあるが、こっちは「やっちまった!」「しまった!」という表現。こっちも母音は曖昧。「や」で発音するときも「い」に「や」を混ぜるみたいな言い方するとそれっぽい。曖昧母音は慣れ。「息」と「駅」は発音同じだから文脈で判断してくれよな。

次!これ多分昨今のずうずう弁事情でよく見かける「だから」問題!これ、一部のずうずう弁地域の常識では「それな。わかる」という意味で使うんだけど、他地域においては「だから何?」と訊かれているようでアッアッてなるやつ。
これを秋田弁で発音するときはシンプル版は「んだがら〜」、「そうそう、本当にそれ〜」みたいな強い同意っぽい言い方の語尾付け足し版は「んだがらよ(な)〜」になる。秋田弁、「か行」と「た行」に濁点付けがち。全部じゃないけど。え?わけがわからんて?大丈夫だ、ぼくはネイティブだから自然に出てくるけど解説に回ったらなんでこんなめんどくせー発音を無意識で使ってるのかわからなくなってきたぞ!

訛って喋ってみたい人向けにディープな発音を解説してみよう。「なに?」「なんだ?」という表現で「なえ?」「なえだ?」というあえて「ん」をぼかす謎の表現がある。多分秋田弁の横着発音の賜物。これが咄嗟に出てきたらスタンディングオベーションよ。ここら辺は物書きさん漫画描きさんは普通に標準語で表記していいと思う。最近の若人であんまり使ってる人おらん気がするから逆に何ぞこれってなるかもしれない。

敬語がめんどくさい人に便利な秋田弁もある。田舎訛りの登場人物がYESと言うときに「んだ」と言うんだけど、あまりカジュアルとは言えないシーンでも「んだ」からの派生で「そうです」の代弁として使えるものがある。それは「んだす」である。ネイティブ秋田弁話者、「そうそう」みたいな感じに「んだんだ」や「んだすんだす」と重ねがち。もちろんこの「す」は「です」を省略した形なので、ネイティブしかいないときはこれでも怒られないのである。ちなみに「そうだね」は「んだな」で、「そうですね」は「んだすな」。「んだ」は便利。ところで「ん」から始まる言葉の発音が難しい人が一定数いるってマジ?

あとはそうだな、「〜しない」をずうずう弁変換すると「〜しね」となるけど、秋田県のぼくが住んでる辺りでは「〜さね」と言うところが多い。お国訛り登場人物を書く(描く)ときはなるべく何県のどこ地方を想定しているかを調べておいた方がいい。ぼくも県北が青森に近い訛りで、その中でも鹿角の辺りは歴史的背景から岩手の南部弁に近い訛りだからどう書いていいかわからんのだよ……。

数年前、東北じゃない地方のとある大学の学生さんとご縁があって、卒論のお手伝いをしたことがあったんだけど、ゼミの先生に「きのやさん、だいぶディープな秋田弁を使われるんですね」というご感想をいただいたことがある。
戦前生まれの家族がいると訛りがきつくなりがち。そう、最大の方言辞書は若くないネイティブ話者。若人は「聞き取れるけどしゃべれない」人も多いから気をつけてな。ぼくはまだ30代前半だけど高齢者が多い地域(限界集落一歩手前)の生まれな上に祖父母が戦前生まれだからバリッバリに訛るし、同世代の子たちも聞き取れん訛り方もたまにする。1秒で辞めた大学の方言が専門の先生に歳の割に訛りもきついし語彙もやや古典的と言われたので、そういうことだよ。そいだばおがでねが……とは思ったけど、身に染みた訛りは消えない。

最後に。ひっちゃかめっちゃかになっちゃたんで、大学の方言のクラスで正解者がぼく1人だった単語を投下して終わるね!
秋田弁聞き取り問題であった言葉で、「ひゃー」とか「ふぇあ」とか、そんな発音なんだけど、間違っても「部屋」ではない。みんな書いてたけど。では何か。そう、それは「蝿」である!言われてみれば……ってならない?そうかならないか……

次はもっと整合性のある話を書きたいね。今回はあまりに散文。
まあまあ、また何かありましたらお会いしましょう。

したらな!

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