#97 ショートノベル「酒と煙草彼女と女」(ストレスの日々を描く哀愁ドキュメント)

酒と煙草。これは美味い、絶品である。
ハタチを過ぎると、左手には酒の入ったグラスジョッキを、右手には”Marlboro”と言う字ズラでライオンの絵が描かれた紙巻きタバコを交互に飲んでは吸いながら悠々自適な生活をダラダラと過ごしている。
これが僕にとっての堪らない人生である。

僕が21歳を迎えた日に前の彼女から突然「誕生日おめでとう……。それよりもちろん、私しか愛していないわよね?」とLINEで送られてきた。すかさず僕は「もちろんさ、お前しかいないに決まってるだろ。」と少し強めに返信すると、彼女も「だったら、酒と煙草なんてスッパリとやめて楽しい生活を……。」と問われると、今まで100%彼女に注ぎ込んで来た愛情が途端に彼女への気持ちが冷めてしまった。
酒と煙草があってこその彼女を見る姿が好きだったのか……僕にとっての彼女は単なるサイドメニューでしかなかった。
彼女と別れ、それからというもの夜はもっぱら狂うように酒へと逃げていった。一日ビール中瓶を2杯とMarlboro3カートンというような最近の若いものでもそこまでしないであろう狂いっぷりをみせる。

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