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本のメモ【テーマ:ヤングケアラー】

読んだ本を自分の中でグループごとに関連づけてまとめておくために、活用してみようと思います。読んで深めていきたいので、「この本も関連している」というご紹介がいただけるとうれしいです。

ヤングケアラーに関連する本。

『ヤングケアラー 介護を担う子ども若者の現実』(澁谷智子/中公新書)

 
 ヤングケアラーの調査を行ってきたイギリスの経験を生かしながら、日本においてどのようにヤングケアラーと向き合っていくべきかを考える一冊。特に、ヤングケアラーがその悩みを話したり、ケア後に適切な学びの機会を得たりする必要性についてまとめられている。
 「はじめに」の社会的背景、4章のヤングケアラーの体験が特に印象に残っている。初めて、新書を読んで泣いた。

『With you』(濱野京子/くもん出版)

 できる兄に対する劣等感を抱きながら高校受験を控える悠人と、病気の母を支えながら家事を一手に引き受けている朱音が、お互いを理解していこうとする話。

 朱音に対して「大変だ」と思う自分は、きっと朱音からしったようなことを言うなと言われてしまう。「大変だ」で終わらせないで、悠人や悠人の母のように、寄り添ったり、支援につなげたりすることができる大人が必要なのだ、と感じる。自分は、その立場にいなくてはいけないのではないか。

 2021年中学校の読書感想文コンクール課題図書。「ヤングケアラーのこと(あとがきにかえて)」には、『ヤングケアラー』(澁谷智子)を参考にしたことも書いてあった。

『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』(濱島淑惠/角川新書)

 ヤングケアラーの現状を知り、社会全体で彼らを支える仕組みづくりをする必要性を訴える一冊。

 ヤングケアラーは、それ自体が哀しいことではなく、負担を一人で抱え込み助けを得られない状況に陥らせていることが哀しいことである、という立場が伝わる。
 確かに、彼らにとってそれが日常であり、それは家族を思って行われることも多いだろう。ただ、彼らが望まない負担を現在または未来において抱えることはあってはならない、ということだと解釈。

 自分の立場でできることは何か終章で考えることができる。

『ヤングケアラーってなんだろう』(澁谷智子/ちくまープリマー新書)

 中公新書は、イギリスなどを踏まえた内容を多く入れていたが、本書はより日本に焦点を当て、中高生により身近になるようにした一冊。

 「身近にもいるかもしれない」という気付きを与えるだけでなく、「私だけではない」「助けを求める場所があるんだ」というメッセージでもある。

読み終えて

 ヤングケアラーという立場そのものが、哀しいことであるという考え方を捨てることは大切なのかもしれないと思った。当事者の声に耳を傾け、現在の自分の状況に対しての思いを聞いていくことが大切なのではないか、と考えることができた。
 学校という場所で、ヤングケアラーである生徒は「クラスに一人以上」であると考えられる。その学校という場で、すべてを解決することはできないが、それを支える手段を考え、話を聞ける状態を自分のできる範囲で造っていく必要があるのかなと思う。
 話を聞くことはできるかもしれないけど、彼らに寄り添うことばや聴く姿勢を本当に自分が示すことができるのか、その不安はある。逆に断絶を感じさせる可能性があることは心にとめておきたい。

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