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論点整理#3 越境移転に係る情報提供の充実等

個人情報保護委員会にて、令和2年改正個人情報保護法の政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた論点整理が行われています

令和2年11月4日に開催された第157回個人情報保護委員会にて、「越境移転に係る情報提供の充実等」の考え方や具体的な事例について議論され、その資料が公開されました

本日は「越境移転に係る情報提供の充実等」について整理してみました

個人データの越境移転に係る制限の概要

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1.本人同意を根拠とする個人データの越境移転

移転元の事業者に対し、本人同意の取得時に、移転先の第三者における個人データの取扱い等についての①本人への情報提供の充実を求める(改正法第24条第2項)


2.移転先の第三者の基準適合体制を根拠とする個人データの越境移転

移転元の事業者に対して、移転先の第三者による相当措置の継続的な実施を確保するために②必要な措置を講ずるとともに、本人の求めに応じて当該必要な③措置に関する情報の提供を求める(改正法第24条第3項)


1.本人同意を根拠とする個人データの越境移転

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① 同意取得時に本人に提供すべき情報

ア)当該外国における個人情報の保護に関する制度
事業者が「適切かつ合理的な方法」により一般的な注意力をもって調査・確認を行って得た情報

例:「移転先の第三者に照会することや、我が国又は外国の行政機関等が公表している情報を参照すること」

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イ)当該第三者が講ずる個人情報の保護のための措置
個人データの取扱いについて我が国の個人情報取扱事業者に求められる措置との間の本質的な差異を認識できるようにする

例:「提供先は、利用目的の通知・公表を行っていないものの、それ以外の点については、個人データの取扱いについて我が国の個人情報取扱事業者に求められる措置と同水準の措置を講じています」

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ウ)その他当該本人に参考となるべき情報
✅ 移転先の第三者が所在する外国の名称
※同意取得時に移転先が特定できない場合等の取扱い

✅ その旨及びその理由について

✅ 移転先の外国の名称に代わる本人に参考となるべき情報(例:移転先の外国の範囲)


2.基準に適合する体制を整備した事業者への越境移転

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② 移転元の事業者が講ずべき「必要な措置」

ア)定期的な確認の実施

✅ 移転先の第三者による相当措置の実施状況

✅ 移転先の第三者の所在する外国における相当措置の実施に影響を及ぼすおそれのある制度の有無

✅ 定期的(年1回程度)に確認

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イ)支障時の対応

✅ 当該支障の解消のために必要かつ適切な措置を講ずる

✅ 当該第三者に対する個人データの提供を停止


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③ 本人の求めに応じて提供すべき「必要な措置に関する情報」

ア)定期的に実施する確認の対象、頻度及び方法

✅ 基準適合体制の整備の方法

例:移転先との間の契約、移転元と移転先に共通して適用される内規・プライバシーポリシー 等

✅ 基準適合体制に基づいて第三者が講ずる相当措置の概要

✅ 移転先の第三者が所在する外国の名称

✅ 当該外国における相当措置の実施に影響を及ぼすおそれのある制度の有無及び概要

✅ 移転元の事業者が上記の確認を行う頻度及び方法

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イ)移転先の第三者による相当措置の実施に支障が生じた場合の対応等

✅ 移転先の第三者による相当措置の実施に関する支障の有無及びその概要

✅ 当該支障に対して移転元の事業者が講じた措置の概要


議事概要

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藤原委員
「越境移転に伴うリスクの把握について、現行法でも、移転先の体制整備を根拠に個人データの越境移転を行う場合、移転先での適切な取扱いを継続的に確保することを求めているわけであるが、今回の法改正は、その責務をより明確にしたものと考えている。すなわち、改正法第24 条第2項の制度趣旨は、越境移転に伴うリスクの把握について、本人の予測可能性を高めるということであり、そのための手がかりを与えることであると考える。そのため、本人にとって分かりやすい、理解しやすい情報を提供するということであると思う。事業者には個人データの越境移転に伴うリスクを改めて把握していただきたいし、特に我が国の事業者に第三者提供する場合との本質的な差異がどこにあるのか等は非常に大事ではないか。委員会としてもその契機となる仕組みを構築していくことが重要ではないかと考える」
小川委員
「分かりやすい情報提供の重要性について、行政のデジタル化が政府にとって喫緊の課題となっている。デジタル化で大切なことの一つが、行政システムの使いやすさや分かりやすさである。個人情報に関しては、個人情報の取得や第三者提供を行う際の情報の提供を分かりやすく行うことが大切であるが、特に、外国に個人データを移転する際の同意取得時には、我が国と制度が異なるため、本人が容易に理解できること、そして、リスクがある場合にはそれがよく分かるようにすることが重要。その意味で、我が国の事業者に通常求められているレベルとの対比を示すということは、情報提供の方法として有効ではないかと思う」
丹野委員長
「越境移転に係る情報提供の事業者の責務の充実ということであるが、お二人の委員から意見をいただいた。前回までの議論と同様に、現時点では方向性を議論したものであり、決定ではないため、本日の議論も踏まえ、引き続き検討を進めてまいりたい


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本日の引用文献

第157回個人情報保護委員会(令和2年11月4日)

資料2 改正法に関連する政令・規則等の整備に向けた論点について(越境移転に係る情報提供の充実等) (PDF : 547KB)

議事概要 (PDF : 138KB)


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