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課題充足社会を超えて 〜リビングラボにおける新たな価値創造〜

現在、リビングラボはバズワードとなり、今や全国各地で活発に取り組まれています。しかし、なぜリビングラボからイノベーション(革新的なビジネス)が生まれていないのでしょうか、私が調べた限りでは見当たりません。

一部の考え方では、暮らしの中や地域に存在する課題を解決にこそニーズがあり、それを解決することがソリューションビジネスに繋がるという意見もありますが、果たしてそれは事実なのでしょうか。

現代では、暮らしにおける大きな課題はかなり解決されていると言えます。冷蔵庫・洗濯機やエアコンが無かった時代とは異なります。言い換えれば、大きな収益につながるような課題解決ネタはあまり存在しないのではないでしょうか。私たちは課題充足社会に生きているのかもしれません。

そのため、真面目にリビングラボに取り組んでも、なかなかイノベーティブなビジネスにはつながらないのではないでしょうか。 これからは、むしろリビングラボでは意味を問いかけるフェーズに移行するべきだと考えています。

例えば、「こんな生き方をしてみたくありませんか」、「この商品であなたの暮らしにこんな意味や価値をもたらせませんか」、「この商品の存在意義を共有しましょう」等といった、個々のライフスタイルや生き方・信条に意味や物語を持たせるアプローチにシフトすることが必要になると私は考えています。

現代の時代において、そして日本において、そんなにたくさんの課題や困難を抱えている人や地域はほとんど存在しないと思います。逆に、それほど大きな課題や問題がある場合は、もはや国家の政策として対応する必要があり、リビングラボのレベルで議論する内容ではありません。それはむしろ政策リビングラボのような位置づけであり、ビジネス創出の範疇を超えています。

私たちは、従来の営業スタイルや発想を転換しなければなりません。「何かお困りごとはありませんか?」、「御社の課題はなんですか?」「何かお手伝いできることはありませんか?」等、旧石器時代の営業スタイルではなく、次の時代に向けた新しいアプローチが求められています。三河屋さんはもうサザエさんのマンガの中にしかいません。

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