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人事制度担当が、人事制度を説明してみるテスト

どうも、井上です。
これまで新卒/中途採用を経て色々ゴチャっとやった結果、現在は評価の観点から、人事制度と呼ばれる所をメイン領域にしています。

今日は自分の復習をかねて、人事制度の持つ要素について一般化して紹介してみようと思います(私の所属している組織の話ではないのです)。わかっている方にとっては超基本的、もしくはちょっと視点が違う(視座が低い?)内容かもしれませんので、あしからず。

基本的な人事制度のシステムについて

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一言に人事制度と言っても、いろんな切り取り方があるので、本題の前にモデルを提示します。上図は、このnoteで人事制度として取り扱う「等級制度 / 評価制度 / 給与制度」の3つとその相互作用を、シンプルに記述したものです。

それぞれの矢印における相互作用を主体別に書いてみると、こうなっています。

①(等級→評価)
  等級制度は、メンバーの等級基準を明確にし、定性評価に基準を与える。定量目標の設定にも影響する。
①(評価→等級)
 評価制度は、評価結果を元に昇給/降給の根拠を提供する
②(等級→給与)
 等級制度は、給与レンジの根拠を提供する
③(評価→給与)
 給与制度は、昇給/降給の根拠を提供する

どこの会社でも、人事制度を整備する以上は全然違うものにはならないはず、と考えています(ティール組織など新しめの組織哲学においても、言葉は違いつつも仕組みとしては似通っているはず)。

シンプルに書くと「これだけの事」なのですが、人事制度を複雑に緻密にしていく要素があります。

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それが、会社の持つ人事制度へのポリシーです。

同じ5段階の等級制度を持っていたとして、セールス業務を行う者にどのようなレベルを期待するのか。そして誰に評価され、どう処遇されるのかは組織毎に異なります。

そして、「福利厚生」ほどの派手さはありませんが、この人事制度たちも会社に所属する意義に関わる重要なものです。特に「個人の成長」という点においては最も重視されるべきシステムだと思っています(この話もいつか書きたいです!)。

会社のポリシーが及ぼす影響

評価制度を例に挙げてみましょう。例えばSalesforce社が、自社の目標設定について公開していた情報に、下記のようなものがあります。

Salesforceの目標設定は「V2MOM」というツールで管理しています。これは「Vision」「Values」「Methods」「Obstacles」「Measures」を表します。
~~中略~~
「V2MOM」は、年初と中間期間に作成、そして更新することが求められます。経営陣から順に「V2MOM」を作成、公開するため、社員は経営陣や自分の上司のビジョンに沿って自分自身の目標を作成します。こうすることで、会社と個人のベクトルの統制を図り、透明性を重んじながら、社員一人ひとりが会社に与えるインパクトを実感し、モチベーションの向上を図っています。

引用 : 2019.3.4 Salesforceが​日本における「働きがいのある会社」ランキング1位に

ここで注目したいのは、V2MOMというツールではありません。このツールが扱っている要素の粒度がなんであれ、それは例えばOKRかMBOか、というレベルの話です。目標管理の仕組みを独自にカスタマイズする、それだけでは会社や個人のインパクトには繋がりません。

経営陣から順に「V2MOM」を作成、公開するため、社員は経営陣や自分の上司のビジョンに沿って自分自身の目標を作成します。

自然とこうなったのか、何らかの課題を解決した結果なのかはわかりませんが、会社のポリシーを実現するために考え抜かれた運用が「トップから順に目標を作成→公開する」という部分ではないでしょうか。

そして、ここまでの流れと前後の文から、同社のポリシーには下記の要素があると推測します。

1. 透明性を重んじる
2. 上司は会社の方針を分解し伝える役目を持つ
3. 上司はリーダーとして部下の模範となる事が求められる(マネジメントロールになるには、定性面の高評価が必要)
4. 計測可能なものによって評価を決定する(成果主義)
5. 目標達成のために、個人のモチベーションが重要だと考えている

少し話を戻して、、、
「トップから順に目標を作成→公開する」という運用は、中々にハードなものだと思います。不確実性の高い領域を担当する者から、率先して中長期の目標を描き、その方針に納得してもらう必要があるからです。代表や支社長がう〜〜〜んと悩んでいては、部下達がいつまでたっても目標を確定出来ないからです。そして人事制度を司る人たちは、この運用を回転させるために並々ならぬスキルと努力と注ぎ込んでいるはずです。

ただし、「そこまでしても」大事にしたいポリシーだからこそ、運用しているのだと思います。いつか中の方にお話を伺ってみたいですね。

まとめ

Salesforce社の事例は推測ではありますが、当たらずも遠からず、のはずです(きっと、多分)。
これは、人事制度という仕組みの持つ役割が「"大切にしたい事"を大切にする」事だと考えているからです。その為、各社の都合や事情によって、制度の中身はどんどんカスタマイズされています。そこそこ乱暴な表現に落ち着いてしまいましたが、納得のいく仕組みを目指して、自分も頑張ろうと思っているのでした。

もっと書きたいことが色々

このnoteはここまでです。書き始めると、色々話題が発散しそうになって大変でした。人事制度への関与は合わせて3年ほどなので、まだまだ新米なのですが、今後も組織人事としてのnoteを書いていきたいと思います。

特に興味があるのが、人事制度にまつわる物事の構造化や、匿名個社の事例について問題/課題を抽象化する事です。
若干1年ではありますが、人事の前はエンジニアをやっていましたので、「機能発揮のメカニズムを追求する」ソフト技術としてエンジニアリングを扱っていきたいなと思っています。

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