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‪【続報】‬議員会館を会場に、国会議員も登壇 地方議員向け「旧統一協会」セミナーの解…

※ 本文中の《》は引用、引用内の〔〕は筆者注

引用ではなく註釈

全国会議員を対象にした旧統一協会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりについてのアンケート調査結果を、2021年8月31日に共同通信が公表した。そのなかには当然、地方議員向け「統一教会」系セミナーである全国地方議員研修会に登壇してきた議員も含まれている。しかし彼らのアンケートへの対応は各人様々だった。

既に引退した河村建夫 元衆院議員、2019年に亡くなった宮川典子 元衆院議員の回答がないのは当然だが、第1回セミナー登壇者の武田良太 衆議院議員は全質問に無回答。第3回セミナーで《特別セッション》を行った義家弘介 衆議院議員は《集会への出席や祝電の有無》との問いに《分からない、答えられない》。第5回セミナーで来賓挨拶をした北村経夫 参院議員や、同じく第5回で「決議文」を受け取った上野通子参院議員は《〔集会へ〕出席したことがある》とは答えるものの、《その名称や目的、経緯》にはそれぞれがたった1つを挙げるにとどまった。

そんななか驚かされたのは、2022年の第6回セミナーで《特別スピーチ》を行った青山周平 衆院議員・自民党の回答だった。

集会への出席や祝電の有無 : 出席したことがある
その名称や目的、経緯 : 本年4月、世界平和連合第6回全国地方議員研修会において、全国地方議会議員らと、婚姻制度、こども基本法、LGBT理解増進、選択的夫婦別姓等について意見交換をおこなった。

『共同通信 全国会議員712人アンケート 旧統一教会と政治の関係』2022年8月31日より(太字は筆者)

全国地方議員研修会のセミナー参加費振込先が平和大使協議会であることや、主要運営スタッフに高名な勝共連合幹部がいることは前回記事で紹介した通りだ。それらに、この青山周平 衆院議員の回答を合わせれば、セミナー主催団体とされてきた全国地方議員連絡会議世話人会が、ただの看板に過ぎないことはもはや言うまでもないだろう。

※ 追記:同共同通信アンケートでは、清水真人参院議員の回答にも全国地方議員研修会が登場する。
《令和3年5月14日「第5回全国地方議員研修会」という会合に、秘書が受付で名刺を出し、資料を受け取った。(会場内には入っていない。)経緯として、政策秘書が前所属先で知り合った団体の関係者より出席依頼があったが、議員本人は出席せず、当該秘書が受付にて自身の名刺を出し資料を受け取った。》

引用ではなく註釈

さらに青山 衆院議員も登壇した2022年の第6回セミナーには、富山県砺波市・南砺市在住の県議・市議らが公民館に集ってオンライン参加した際に、世界平和連合県本部の鴨野守 事務局長も同席していたことが地元メディアによって確認されている* 。そして第5回セミナーでは、旧統一協会教会施設からオンライン参加していた富山市議がいた** ことに加え、天宙平和連合(UPF)が運営に関わっていたとの情報もある。

※ 『“統一教会”施設で富山市議が研修会参加』2022年8月24日 KNB 北日本放送
※※ 『“統一教会”関係者 富山県議らと研修会』2022年8月25日 KNB北日本放送

引用ではなく註釈

これらの話から、いくつもの旧統一協会関連団体・関係者が関わるなかで全国地方議員研修会が運営されてきた様子が見えてくる。平和大使協議会某支部がこのセミナーのことを《指導者会議》と呼ぶのも納得だ。

そしてそこに姿を見せるのが、富山政界・自民党への食い込み方で全国を驚かせた鴨野守 富山平和大使協議会事務局長氏であったり、旧統一協会関連政治団体幹部であることを伏せて各地の議員勉強会などで講師として長年活躍し、各地の教職員団体と自民党を結ぶ全国組織の事務局員としても実績のある青津和代氏なのだ。そこからは各人・各団体の役割分担すら感じ取れそうだ。

「地方がこういう動きですから、東京においてはどうでしょうか?」

2022年8月30日に放送されたNHK『クローズアップ現代』で世界平和連合富山県本部の事務局長として登場した鴨野守氏は、地方での旧統一教会系の政治活動・社会活動についてこう語ったという。

地方で条例がたくさん重なっていけば、それを一つの土台にしながらですね、東京において国会議員の先生方に、「地方がこういう動きですから、東京においてはどうでしょうか?」というふうに、持っていけるのではないかなと、そういうことは想像します。

鴨野守 界平和連合富山県本部事務局長
NHK『クローズアップ現代:旧統一教会と政治 見過ごされてきた関係』2022年8月29日放送より
(筆者書き起こし)

全国地方議員研修会は《家庭教育支援条例を全国展開するため》、地方議員の《啓発を行う》役割が与えられてきた。また同時に、旧統一協会団体が各地方で築いた政治家との「繋がり」、地方議会での意見書という成果、それらによる「条例推進運動の盛り上がり」などを示すことで、《国会議員の先生方に、「地方がこういう動きですから、東京においてはどうでしょうか?」というふうに、持ってい》く場のひとつだったのだろう。

しかし鴨野氏の発言は、当然ながら旧統一教会側の広報でもある。それをご親切に「旧統一協会は、自民党を意のままに操るために、地方から運動を積み上げて成果を上げている」などと受け取る前に、一旦立ち止まって考えてみるべきだ。

『第3回 全国地方議員研修会のご案内』では《自民党で重点政策として掲げられている 「青少年健全育成基本法」と「家庭教育支援法」は明るい社会を築く為の車の両輪です。》と謳われていた。また青津和代氏の講演では、高橋史朗氏がことあるごとにそうするように、「家庭」や「家庭教育」について語る際に大平内閣の家庭基盤充実構想が持ち出されている。「家庭教育支援条例」は高橋史朗氏が推進していたする「親学」のムーブメントが盛り上がる中で生まれてきた。旭川家庭教育を支援する会の設立準備委員会代表は、モラロジー団体関係者で日本会議支部の幹部だった。

「鶏と卵」という言葉がある。たしかに鶏は卵から生まれ、また鶏は卵を生む。しかし目の前に出された卵が、鶏の卵とは限らないのだ。

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