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DELTAの作り方 -これさえやれば誰でもDELTAくらいの規模の大会を作れる-

はじめに

本記事は寝椅子さんが主催している #スマブラAdventCalendar2023 の9日目の記事です。

8日目はトイサトシさんの『スマブラXのホムコンが未だに活気があって羨ましい話とホムコンというコンテンツのこれから』という記事でした。
未読の方は上記リンクから是非読みに行ってみてください。


今回、東京のスマブラオフ大会『DELTA』が運用しているnoteを通して、主催の限界社会人ナナミが『DELTAの作り方』というテーマで記事を書かせてもらいます。
作り方とは何ぞやという話ですが、DELTAを運営してきた1年間でやったことを全部書くので、これさえやればDELTAくらいの規模の大会を作れるというノウハウ集だと思ってください。
極論DELTAのような大会は誰でも作れると思います。なぜなら僕に特別な能力もネームバリューも何もなかったからです。
何もないからやり方とかを頑張って考えてやってたら割と良い感じに続いて、関東の中堅くらいの大会にはなったのかなと思ってます。
2021、2022年は個人のブログでAdventCalendarに参加させてもらったので、よろしければそちらもご覧ください。

1.DELTAの立ち上げ

組閣-無意味な多数決はしない-

僕は2022年くらいの篝火運営を通してスタッフ経験やスタッフの知り合いは増えていたので、これが後にDELTAの礎となっていきます。
僕には何もないと言いましたが、スタッフとして勧誘した人と配信を依頼した人はオフ大会の経験豊富なすごい人たちです。
ちゃんとそういう関係値を築けていたのは偉いポイントかもしれないですね


※補足
篝火運営をガッツリやっていたころの話は上記過去記事に書いています。
ざっくり言うと全体の準備のマネジメントとかサブ配信とかやってました。今はDELTAをやり始めたので運営準備から外してもらっています。
DELTAを始めた経緯はこちらに書いています。

ちなみにとある知り合いからは篝火をクビにされた腹いせでDELTAを始めたと思われていたようです。面白いからそのままにしておきました。


ところで少し脱線しますが、こちらの動画を見たことはありますか?

後述の大会コンセプトを実現するのに、決まるまで時間がかかったり多数決で僕のやりたいことが出来なかったりしたら本末転倒です。
DELTAの意思決定は全て主催の僕が行うようにしました。
このやり方は意思決定者が適切な舵取りが出来なければ崩壊するモデルなので、中々神経を使います。
大会費用は100%僕の懐なので、言うなれば一社スポンサーですからね。僕のやりたいことをやる、そしてやったことの責任は収支という形で全て主催がとる、その体制で運営することになりました。
なので民主主義な組織ではないですが、大会のアイデアは全て僕発案ではなく、スタッフからの提案をもらってそれを採用したりしています。その辺は良い塩梅でやっていきたいですね。

独自の大会コンセプトを考える-劣化篝火になるな-

"新しいコンセプトや取り組みを試せる場"
これが初回から打ち立てているDELTAのコンセプトです。当初から独自性を持った大会にしたいと思っていました。
個人的に色々試したいことがあったから、というのも理由としてあります。しかしそれだけではなく、篝火でスタッフ経験を積んだ僕が普通に大会を作ったら恐らく劣化篝火が出来るだけなんですよね。
それはもう篝火で良いじゃんという話です。そうならないために篝火でやっていないこと、やれないことを積極的に取り入れていく方針を打ち立てました。
今となっては見るのも恥ずかしいのですが、当時のコンセプト資料がこちらです。当時の意気込みの強さが現れた青臭い内容ですね。

ちなみにDELTAという大会名の由来もここからです。単純に試すから派生した言葉で考えていたのですが一捻り加えたいなと思い、"TRY"→"TRI"→"三角"→"Δ(デルタ)"という連想で作りました。
デルタは数学や物理の世界で「差分」や「変化量」を意味する記号でもあるので、意味合い的にもピッタリだなと思っています。

2.「差分」を作るためにやったこと

PassMarketによる事前決済の導入

東北の大会で採用されていたPassMarketによる事前決済を採用しました。
これは発足当初からやろうと決めていたことで、現在は現地決済とも併用しつつ見学枠は完全事前決済にするなど運用方法を調整しつつ続けています。
ウメブラ等でも一部採用され、東京における事前決済導入大会の走りとなりました。

A6サイズの名札の採用

前述したデザイナーのマヲさんからもらったアイデアです。
名札のデザインとしてイラストを用いずに名前を大きく書けるようにしたいというオーダーを出していたのですが、まさかの名札自体を大きくするという提案をされました。
そして裏面も利用し、そこにはステージルールを載せることにしました。(当時はステージも独自ルールだったので分かりやすさのためという側面もありました)
これは今ではさらに発展し、現在は表面にステージルールと名前、裏面に会場図と台番号を載せています。スマホでstart.ggを見る手間もなく、試合内外で役に立つ名札となりました。

サブイベントにSmashFreaksを導入

ダブりエリミネーション形式のトーナメントで進行する大会は極論、半分の人が勝者側1回戦で敗退し、もう半分の人が敗者側1回戦でトナメから姿を消します。
四分の一の人が2回の対戦機会で終わってしまうのがトナメ形式の宿命なんですね。
もちろんそれ以外にフリー対戦したりBクラストナメがあったりするんですが、フリーは流動性が悪かったりBクラスはマンパワーが必要なのでちょっと大変だったりします。
そんな時に実況をしているDice-kさんから提案してもらったのが、途中でSmashFreaksをやってみたらどうかという案でした。

レート戦なのでフリーよりもシステム的に対戦台の入れ替わりが起こり、スマメイトのように自動で対戦相手が組まれて移動するのでBクラスよりも人手が少なくて済みます。
また、進行する内に自分と近い実力帯の人と対戦が多くなっていくため、勝か負けるかギリギリの緊張感のある対戦が多くできるのが魅力です。

オンライン実績の優遇

ちょっとこれは賛否があったり、個人的にもやり方に迷っていて第7回以降では白紙になっているのですが、スマメイトの実績をシードに反映していました。

これは回によって少しずつ比重を変えているので、詳しくは過去記事を参照してください。
意図としてはオンラインを中心に活動しているプレイヤーにシードが付かない、爆弾ノーシード問題を何とかしたいというのが1つ。もう1つの理由が、オンライン勢にフィーチャー出来たら良いというものでした。
これは上手くいったかと言ったらまだ微妙かなといったところなので、もう少し頑張りたいポイントですね。

noteで大会コンセプトの発信をする

この記事の投稿にも繋がっている、発信活動の原点です。
大会運営の中身ってあまりよく分からないブラックボックスじゃないですか?
それは多分変に色々発信して重箱の隅を突かれたら大会側としては面倒という事情もあるにはあると思うんですが、そのリスクも込みで積極的に発信していこうと決めました。
労力の割には効果があるわけではないのですが、まあこれは自己満足の世界です。noteとは別でコミュニティ大会のガイドラインが出る前から収支報告を出していたんですけど、それもブラックボックスじゃなくて透明性を重視したい気持ちもあったので、その中の一つですね。
それと主催とかスタッフのアカウントで色々発信するのもあまり好まなかったという側面もあります。大会アカウントから全部出しておきたかったです。

3.開き方の工夫

開催することをもって宣伝とする

64人規模の休日オフとしては小規模な大会としてスタートし、可能な限り会場を確保して開催頻度を上げてきました。
後発の大会なので開催することでコミュニティ内の認知度を上げようという試みです。1年で7回目を開くという、休日大会としてはかなり早いペースで開催できたと思っています。

需要のある日程であれば無茶でも会場を確保する

これは2023/5/4のDELTA#4のことです。
篝火#10の二日前、海外勢も多く来日しているタイミングで急遽その日に予定されていた関東の大会が中止になったと聞いてすぐに会場を探しました。
結果としてPiOの小展示ホールが空いていたので、1ヶ月も期間のない日程でしたが即予約と告知を行いました。
スタッフの予定なんて一切考慮しなかったので行けない人も多くて、身内に手伝いに頼むレベルの急造大会となりましたが、結果としては大成功。強い人が来すぎて数少ないS Tierの大会になるという凄い回になりました。
3月末に#3を開いて次は篝火の後と思っていた矢先に無茶をして開いたので、流石に疲れてしばらく大会を休止しました。

Start.ggの作り方を工夫する

Start.ggの作り方と言うとレイアウトとかマークダウン部分のことかと思うかもしれませんが、それはぶっちゃけ些末な要素です。
一番工夫してるのどこだと思いますか?

これです。
第4回の時からバナー画像に入れてほしいことを指定しました。大会名、会場、開催日、参加者数です。
これってどこで効果を発揮するかと言うと、参加者の人のツイートなんです。

※偶然書いている時に申請ツイートを見かけたので、あばだんごさんのツイートを使わせて貰います。
「I just registered」ツイートにはバナー画像が表示されるんです。このコミュニティの中で1番母数が多いのは選手です。人によっては何万ものフォロワーがいますし、そうでなくても知り合いのフォローしてる人が「I just registered」してるツイートを見たら、DELTAの情報がパッと見で分かるようにしました。

赤字を出さない

最新の収支報告

DELTAは今まで何とか黒字運営を続けています。
最初の出費元は僕の貯金なので黒字を出すのは当然大事なことなんですが、それ以外にも赤字運営だと縮こまってしまうというか、思い切った勝負手の大会って出来なくなってしまうと思っています。
次は赤字を出さないようにしなきゃが思考の中心にきてしまいますからね。


この記事を紹介するのは勇気がいるんですが『オフ大会が赤字になるわけがない』というnoteを紹介します。
これはポケモンのオフの話題なので全て同じ様に考えられる訳では無いのですが、オフ大会の主催はこういうことは理解しておかないといけない内容が詰まっています。

オフ大会運営の収入は、参加者と参加費の掛け算で算出できる。
オフ大会に最低限必要な支出は、会場費と設備費から算出できる。

自分はオフ運営に、大規模も小規模も含めて関わっていたけれど、オフ大会の運営が赤字になるわけがない。なぜならあらかじめ、収入と支出の範囲が決められているからだ。こんなに分かりやすいお金の出入りは中々ない。

仮に大赤字になることがあるとすると、台風や、その他の災害で当日大量キャンセルが起こり、当日キャンセルでも返金などの仕様だった場合だろうか。そもそもオフ参加者の数を読み間違え会場を大規模に設定しすぎた場合や、事前に予定していた日に公式からイベントが告知され、そちらに需要が奪われるなども考えられるが、これらのケースは浅慮や数少ない偶然が引き起こすものであり、今日は無視する。

~中略~
理由は上記の通り、参加者と参加費の掛け算で収入が算出できるから。その収入の範囲内で会場費や設備費、名札などの細やかな備品の費用を事前に想定し準備を行うため、赤字の発生はありえない。

ではなぜ赤字が発生するのかというと、これはオフ大会の健全な運営以外の、主催者や関係者の思惑が入ってくるためである。

~中略~
そしてそもそもこの両オフに潜む赤字・黒字の問題を解決することができるのが、詳らかな決算報告書を公開することだと思う。オフ大会の赤字報告が、一部の人から白い目や不審な目で見られるのは、普通のオフ大会では赤字になりえず、お金の流れが不明瞭だからに他ならない。



運営費や配信費などといったあやふやな記載ではなく、運営の誰の何の労働に何円、公式サイトの何のデザインに何円、配信機材のどの部分の何割に何円、持ち帰り使用するのが誰であるといった過剰なほど詳らかとされた報告を見てようやく、一般的なオフ大会に関わる方たちからは“そこにそれだけ金額が掛かるのか”と納得され、自分たちのオフにも転用し多少は負担を軽減できるだろうし、その報告が納得のいくものであれば、参加者の多くからは“であるならば、参加費を増やしていただいても構わない”と共感を得ることができるはずだ。

『オフ大会が赤字になるわけがない』

どこか心に刺さる文があった皆さん、長いですが元の記事を全文読みましょう!
今現在、僕も「オフ参加者の数を読み間違え会場を大規模に設定しすぎた場合」という文が心に突き刺さっています。DELTA#7参加者募集中です。

デザインと配信に拘りすぎない、トナメをしっかり運営する

これが1番大事かも…。
篝火は非常にデザインと配信のクオリティの高い大会です。
「憧れるのをやめましょう」とは言いませんが、それよりもちゃんと大会の骨子であるトーナメントをちゃんと運営することが大事です。
この優先順位が逆ではいけないし、可能な限りバランスをとってやっていく意識で運営してきました。DELTAでは僕はほとんどトナメ運営のことに注力して、配信やデザインは担当を信頼して任せる方針でやっています。
何も関わらない訳ではなくて、こうして欲しいという意向は伝えつつ作業は完全にお任せするということです。
誤解なきように言っておくと、デザインとか配信(その他諸々)に力を入れるな!ではなくてバランスが最重要ということです。

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
今まで考えてきたことをアウトプットして書き殴ってしまったので、文章が荒いと思います。すみません…。
DELTAはこの12月で一区切りなので、これまでを総括する記事を書く機会があって良かったです。AdventCalendar企画に感謝します。
明日はDELTAの手伝いもしてくれているショートケーキさんの記事が投稿されます!そちらも是非読んでみてください。

12/23(土)のDELTA#7、参加者募集中です!

そして再来週の12/23にDELTA#7を開催します!
この記事きっかけでDELTAを知ってくれた方が1人でも参加してくれると幸いです。まだ参加者半分くらいなので是非ご参加ください。


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