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アマゾンが恐れたカスタマーサービス

「Amazonがどうしても欲しかった企業」「Amazonが屈服した企業」といわれる靴のネット通販会社がある。それがザッポスである。

2009年にAmazonに12億ドルで買収されることになるのだが、今でもその独特の企業文化が注目されている。そして、その企業文化によって、カスタマー・サービスの質が高まり、米小売業協会の調査では、顧客サービス満足度において、オンライン販売トップのアマゾンを抑えて第2位に選ばれている。

そのザッポスの創業者トニー・シェイの初の著作である『ザッポス伝説』は、発刊されて10年経った今でも、まだまだ内容が新しく感じる。

個人的に印象に残っている文章が下記だ。

コール・センターを最小限の費用に抑えるものとする企業が多すぎる。
大部分の企業にとって、コール・センターは手付かずの大きなチャンスだと考えている。
結果的に口コミ・マーケティングになるだけでなく、顧客の生涯価値を高める可能性があるからだ。

(中略)

一般に、投資対効果を計算する場合、顧客の生涯価値を一定にして考える。しかし、私たちは生涯価値を流動的なものとみなしており、顧客の心の中に私たちのブラントのよりポジティブな絆を創り出せれば、顧客の生涯価値を向上できると考えている。

ザッポスでは、広告にほとんど費用を掛けず、その分の費用をカスタマーサービスと顧客体験に投じている。創業者トニー・シェイ自身も、それがザッポスの哲学であるとまで言い切っている。

この考え方はを聞いて、『真実の瞬間』という書籍を思い出した。

この書籍では、スカンジナビア航空が「真実の瞬間」と呼ぶ、顧客との接点を見直すことで復活したストーリーが書かれている。

スカンジナビア航空にとっての「真実の瞬間」は、旅客が乗務員に接する15秒の時間だった。年間を通じて、1,000万人の旅客が、平均して5人の乗務員に15秒ずつ接する。この15秒間で、顧客を喜ばせること、ここに経営資源を投下したのだ。

ザッポスの経営哲学も非常に近しい。

ザッポスにとっての真実の瞬間はコール・センターであり、そこでの顧客体験向上により、企業価値を高めてきた。

ちなみにザッポスにはコール・センターマニュアルがないそうです。

どんなに普通ではない、奇妙な状況で会っても、ブランドのためによいことをする権限を社員に与えているそうです。「靴の通販会社にピザの注文があっても、ビザ屋さんのリストアップをしてあげた」という逸話があるほどです。

いまではD2Cと言われるビジネスモデルの先駆けであるザッポスですが、その経営哲学はすごくシンプルで、独特のものでした。

今読んでもとても新しい内容で、おすすめです。



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