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世界は悪くなっている、という思い込み

2020年上半期で最も話題になった本の一つ『FACTFULNESS(ファクトフルネス)~ 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 』。

この本では、人間が世界を見るときに陥りやすい思い込みを10つ紹介している。そしてそのそれぞれの思い込みを読者が自分で確認できるように、いくつかの質問が投げかけられる。

例えばこのような具合だ。

世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 約半分になった

こんな世界への理解度に関する問題が冒頭で13問投げかけられる。

このそれぞれの設問が10つの思い込みとリンクしている。

ちなみに、上記の質問の答えは「C」。オンライン調査の結果、世界のほとんどの国で正答率が10%未満だったそうだ。

この回答結果が、第2章で紹介されている「ネガティブ本能」を証明するものになっている。

この「ネガティブ本能」についての記述は、個人的に心に残っているのでかいつまんで紹介したい。

人はだれしも、モノごとのポジティブな面より、ネガティブな面に注目しやすい。上記の質問よりももっとシンプルな質問、「世界はどのように変化ししていると思いますか?」に対して、ほとんどの国で50%以上の人が「どんどん悪くなっている」と回答したデータもある

確かに、漁業での乱獲や、海洋汚染は深刻な問題だし、生物が生きられない海域や、絶滅危惧種も増えている。温暖化による海面上昇も避けられれない。

最近では山火事のニュースもよく報道されて、地球環境への影響に、いやでもネガティブな印象を持ってしまう。

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しかし、本当に、すべてが「どんどん悪いほう」に進んでいるのだろうか?

ここから先が、この章の好きな部分。

実は、「どんどん良くなっている」部分もある

例えば下記のような内容だ。

・乳幼児の死亡率は100年で1/10
・飢餓に陥る人の割合は50年で1/3
・オゾン層を破壊する物質の使用量は50年で1/100

本書では上記も併せて32個の良い事実について触れている。

このような良い変化があるにもかかわらず、なぜ多くの人が「世界はどんどん悪くなっている」と感じてしまうのか。

そこには3つの理由があるという。

①あやふやな過去の記憶
②ジャーナリストや活動家の偏った報道
③状況がまだ悪いとき「良くなった」と言いづらい空気

「過去は美化される」という言葉もあるが、今起きている「良いこと」は、あやふやな記憶で美化された過去に比べて正当に評価されづらく、畳みかけるようにネガティブな今に関する情報が届けられてしまい、油断すると暗い気持ちに傾いてしまう。

本書では、ファクトフルネスな姿勢として、下記のような心持ちを推奨している。ただ前向きになりなさい、という言うわけではない。

「悪い」と「良くなっている」は両立する。「悪い」は現在の状態、「良くなっている」は変化の方向。2つを見分けられるようにしよう。
(中略)
ゆっくりとした進捗はニュースになりにくい。長期的には進歩がみられても、短期的に何度か交代するようであれば、その後退のほうが人々に気づかれやすい。

「良くなっている」という変化が起きる場所は、それが重要な変化であればあるほど、むしろ「世の中の監視の目が高まった悪い状態」であることが多い。

がゆえに、良い変化が起きていても、人々の感情を一時的に暗くしてしまう可能性がある。世界中の人が、統計的に、そのような「ネガティブ本能」に陥っている。

すべてを楽観的にみるべき、というわけではなく、「悪い」と「良くなっている」の両面を常に意識することで、世界を正しく見れるし、希望をもって生きていける、ということなのだろう。

また別の章も機会をみて紹介してみたい。

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