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つかみ損ねたくも

西の空にかすかに見えていた雨雲は、あっという間に広がりだした。

「大変だ、雨が降ってくる」

将太は小走りに家路を急ぐ。

途中、山と山の合間から水田が広がっているところを一望できるところまで来た。そこには民家がポツポツと点在している。

グゥ、グォロ、ゴロッ!

「稲光だ。大変だ」

バッガォーン!

「ものすごい稲光だ」

民家のシルエットがくっきり浮かび上がっている。

すごい光景だ。不気味な雨雲もその異様さが際立っている。

これは絵になる。そう思った。
ついに雨が降り出し
将太は一目散に家を目指した。

大雨が降った。
雷は2時間も経たないうちにどっかへ行ってしまった。

翌日の昼前、将太は絵の具と画用紙を持って、例の水田が広がっているところまで出かけてみた。

昨日の稲光は消え去ってしまい、あのときがまるで嘘のような穏やかな光景が広がっている。

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