『科学的な適職』(鈴木祐)を読んだ

自分のキャリアについて考えるとき、いつも思うのは「この仕事以外の選択肢はなかったのか」「他の選択肢を十分に検討することなく、このまま成り行きに任せていいのか」ということ。たくさんのキャリアが存在する中で、自分の選択は正しいのか、そんな考えたところでおよそわかりそうにもないことをふと考える時がある。それでも考えねばならない。今後何十年もの時間を一つの職に費やすことになるのかもしれないのだから。

職業について考えるとき「自分の好きなことを職業にしたい」という考えはごく当たり前のように思う。最近はYouTuberといった、誰でも実際に好きなことを職業にでき、現実味を帯びてきた。しかし筆者はそこに疑問を呈する。幸福の量を最大化するものを職業とした時、好きなことを仕事にする、というのは長期的に見れば適当ではないという。最初の数年間は満足感は高いがその後、徐徐にその辛さが顕在化していき、幸福感が低下していくという研究結果があるようだ。では何を基準に考えるか。それはお金でも自分のスキルでもない。それは自由や達成、仲間、貢献といった基準である。世間に流布されている誤った基準を頼りにしてはいけないのだ。

何よりこの本の中で強調されていたのは、自分に合った職業を予測するというのは不可能に近いということ。だからこそ、自分なりの大まかな方向性を定めたら、後は身を委ねることが必要だ。仕事に幸福感を持つほとんどは、仕事をやりながら自らやりがいや楽しさを見出しているのだから。この本はその方向性を定める一助となる。

自分の今後のキャリア形成には多く悩みがあるけれど、それで後悔するか、それともやりがいや楽しさを見出して、自分にとっての天職だったと思うかはその時に自分次第ではないか。現時点の努力を最大化して、とりあえず信じた道を貫こうという指針をこの本から得ることができた。

3月17日


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