チェコ現代人形劇入門 2021年08月23日
上演・上映・レクチャー「チェコ現代人形劇入門」2Days、無事盛況のうちに終了しました。レクチャー内で紹介した舞台作品映像一覧は下記画像の通り(一部時間の関係で泣く泣くカットしたのもあり)。
内容は・・・・・・
はじめに、チェコ現代人形劇の三つの方向性(伝統保持/伝統の新たな解釈/他ジャンルとの融合)を簡単に説明しました。そしてそれら三つの方向性の実例比較として、チェコ人形劇で一番よく演出されている作品『ヨハネス・ドクトル・ファウスト』の、「ポルトガル」のシーン(ドイツ人形劇では「パルマ」)を三種類見比べました。
ちなみに「パルマ」は、1808年のゲーテ版ファウストではカットされましたが、人形劇版ファウストでは非常に重要な場面。奇想天外、神話上の人物やモンスターを沢山登場させて、さまざまな仕掛けで観客を驚かせ笑わせる、人形遣いの腕の見せどころ的な場面なのです。1808年以降、演劇界では次第にゲーテ版以外の民衆劇台本は殆ど舞台にのらなくなってしまいますが、人形劇界では19世紀から21世紀に至るまで、ゲーテに置き換わらず、人形劇台本が保たれます。それはおそらく、「パルマ」のような人形劇ならではのシーンを、過去の人形遣いたちがしっかり魅力的に・かつ時代に合わせて新たに表現し続け、観客側もそれを評価し続けてきたということを証しているんじゃないでしょうか。
「ポルトガル/パルマ」のシーンを見比べたあとは、チェコ現代人形劇を代表する三つの劇団「ナイヴニ劇場」(リベレツ)「ドラク劇場」(フラデツ・クラーロヴェー)「アルファ劇場」(ピルゼン)の、1990年代・2000年代・2010年代それぞれの方向性や特徴、代表的人物、そして代表作を映像(一部実演!)と共に紹介しました。歴史ある劇団は、良いときもあり、悪い時もあり・・・・・・、芸術の方向性もあっちへこっちへ。劇団間での人材交流や相互影響もふんだんにあり、複雑かつ充実した30年間の三劇団の動きを二時間で説明するにはかなり無理がありましたが、みなさんにはお楽しみいただけたようで幸いです。
「第二弾、第三弾をやってほしい」というありがたい声がちょちょいとあったので、プラハやブルノ等の人形劇シーンふくめ、今回は全くふれられなかったたーーーっくさんの他の劇団や作品を語る会をまたやりたいと思います。
企画・構成:山口遥子 ヤクブ・ホラ
出演・登壇:ヤクブ・ホラ マルティナ・ハルトマノヴァー トマーシュ・イェレシュ ペトル・ホリー 山口遥子 小原美紗
主催:プーク人形劇場
広報デザイン:鈴木壮一