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ドレスデン国立美術館(SKD)の人形劇コレクション、お引っ越し中です

いま、私が客員研究員として所属しているドレスデン国立美術館(SKD)の人形劇コレクション(https://puppentheatersammlung.skd.museum/)は、お引っ越しの真っ最中です。

このコレクションは、ミュンヘン市立博物館の人形劇コレクション(https://www.muenchner-stadtmuseum.de/sammlungen/puppentheater-/-schaustellerei)に次いで、ドイツ第二の大きさ。現物資料をあわせて、その数実に10万点。ミュンヘンが持っているコレクションは世紀転換期に花開いていたミュンヘンの人形劇シーンが中心で、ここドレスデンはザクセン地方の人形劇資料を中心に有しているため、それぞれに固有の価値がある。

歩くドイツ人形劇史辞典ぶりがますます増しているかんじのラース・レベーンさん(レベーンさんについての4年前の記録「誰も事前に忠告してくれなかったの?〜ドレスデン・人形劇コレクション、レベーン先生の大講義〜」:https://deku.webnode.jp/l/dresden/)にも再会できてほっとした。顔を合わせた瞬間にまた大講義が始まりかけたが(「手稿がここには3000あるからね、ミュンヘンよりもずっと多いんだよ。手遣いは台本がないけどマリオネットはあったでしょう、ザクセンのマリオネット劇団は他のドイツの地区に比べて長生きでねえ〜・・・」)、間一髪、レベーンさんにかかってきた電話で中断され事なきを得た。コレクション一般公開まであと2ヶ月ちょっと、さすがに忙しそうだ。私は明日からはしばらくここにこもって資料と向き合う。

左側に人形劇場(兼ユースシアター)、右側に人形劇コレクション

コレクションのオフィシャル・オープニングは今年の8月31日を予定している。立派な展示会場も有していて、オープニング記念展覧会はリミニ・プロトコルの「海賊版オルター・エゴ」(https://www.rimini-protokoll.de/website/de/project/alter-ego-raubkopie)。「目に見えない糸に満ちたデジタル世界のメタファーとして」人形劇を捉えたインスタレーション。上記作品紹介ページによれば「人形が創造主に反逆する」という人形劇史に繰り返し現れるモチーフを念頭に置いているらしい。エルンスト・ブッシュ演劇学校と一緒に制作したという操演ロボットに操られる、イーロン・マスク人形(なぜ・・・)のインスタレーションなど。梨の木(ふつうは菩提樹なのでめずらしい)で彫ったマリオネットだった。動いているところはまだ見ていない。


リミニプロトコルのウェブサイトより。
「海賊版オルター・エゴ:三つの部屋におけるマルチメディア人形劇」
人形劇コレクションのディレクター、カティ・ロッホさん。ここは人形の修理・補修の工房になるが、いまはまだ搬入されてないので私の仕事場とさせてもらっている。

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