『オールド・クロック・カフェ』6杯め「はじまりの時計」(3)
第1話は、こちらから、どうぞ。
前話(第2話)は、こちらから、どうぞ。
桂子が盆にグラスを二つのせカウンターを出ると「それ、貸し」と祖父が盆をうばう。
「店番代わったるさかい、お母さんと話をしたらええ」
「でも……」
桂子がためらうのを気にもとめず、祖父は片手で盆を運ぶ。
母はツリーの後ろの中央テーブル席に腰かけるところだった。
祖父が母の前にグラスを置く。
ぼーん、ぼーん、ぼーん。
テーブルのすぐ後ろにある置床式の古時計が重低音を揺らした。
祖父のなめ