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100字物語「少年のさがしもの」

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毎回、100字でショート・ショート風ストーリーを連載していきます。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何が見つかるかは、お楽しみに。
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100字物語「少年のさがしもの」#第16話

少年は地図を探していた。海の見える駅のホーム。女子高生が3人。潮風に首をすくめ、オクターブで笑い声をあげる。警笛を海鳴りが追い立て、やって来た列車が彼女たちをさらっていくと、猫が一匹うずくまっていた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第27話

少年は変化を探していた。午後の数学の授業。√、Σ、∞。黒板で蠢く謎の外来種の群れ。瞼に眠気が降下する。窓から見えるプールは緑に侵略され、猫がプールサイドで獲物を物色している。ノートを閉じて午睡をとる。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第28話

少年はロックを探していた。一晩中雪が降り続いた翌朝。つらなる銀嶺は神々しい光を浴びて目覚める。凛とした空。樹氷を揺らす風。ボードを抱えて林間の道をのぼる。猫が肩に飛び乗った。新雪を蹴散らして初滑りだ。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第31話

少年は軌道を探していた。忘れられたバスケットボール。拾ってゴールを睨む。幻のディフェンスをかわしながらリング下からレイアップだ。鋼の縁に強打して曲線で跳ねた。猫がリバウンドを追い駆ける。鷹が旋回する。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第32話

少年は展望を探していた。氏神様へと続く参道。まだ設営されていない屋台が並ぶ。明日は大晦日。煤払いの焚火がはぜる音がする。ポケットの隅で忘れていた5円玉を賽銭箱に投げ入れる。柏手を打つと、猫が見あげた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第33話

少年は追憶を探していた。住む人のいなくなった蔦の絡まる御影石の洋館。いよいよ取り壊しが決まったと母が嘆いていた。石畳の坂道に夕陽が影を落とす。船が汽笛を鳴らして、港を出て行く。どこかで猫の鈴が鳴った。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第35話

少年は挑戦を探していた。誰もいない冬の浜辺。白い雄叫びをあげてうねる波。すぐに消し去られる猫の足跡。サーファーがひとり灰白色の空を背に、砕け散る荒波と格闘している。潮騒のリフレインが応援歌を轟かせる。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第36話

少年は進路を探していた。港のドック。運河に架かる橋から貨物船の進水式を眺める。斧が綱を切ると、シャンパンボトルが船腹で砕け散った。ドックに海水が侵入する。デッキの上空で群れるカモメ。猫が毛を逆立てた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第38話

少年は対話を探していた。教室が微熱を帯びる2月。期待と落胆の嵐が吹き荒れる日がやって来る。朝から甘い匂いに浸食される脳髄。恋愛は未知の領域。数学よりも理解不能。義理でもいいさ。猫まで女子に媚びを売る。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第40話

少年は日常を探していた。アーケードの続く商店街。シャッターの閉まった店がパッチワークで散らばる。青果店の隣のコロッケ屋で買い食いをする。生徒指導の巡回はないな。魚屋の大将が猫に煮干しを投げて寄こした。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。