大河ファンタジー小説『月獅』51 第3幕:第13章「藍宮」(4)
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第3幕「迷宮」第13章「藍宮」(4)
暦が二月をめくってまもないある日、キリトは近侍二名を伴って藍宮を訪れ、カイルとナユタを驚かせた。
「母上を説得してまいりました」
胸を張るキリトの後ろで近侍たちが苦笑していた。どうやらここひと月、真珠宮では悶着が続いていたらしい。
――なにゆえ後宮から出てはいけないのか。なぜ藍宮を訪れてはいけないのか。どうしてカイル兄上に会ってはいけないのか。
新年の行事で忙しないラサ王妃をキリ