お茶の時間
さなえさんは、わたしが住んでいる地域のデザイナーさん。
トイプードルみたいなふわふわの赤茶の髪をして、
よく原色の服を着ている。
ちゃきちゃきと動き、いつも楽しそうなことを企んでいるから、きっとすごい人なんだけど、
わたしはなぜか、歳の離れたおともだちのように感じる。
さなえさんの古民家は、
アンティーク調のシャンデリアがあって、
さなえさんのアトリエには、
素敵なハードカバーの本がずらりと並ぶ棚がある。
わたしが行くとお茶とお菓子を出して、お話をしてくれる。
「ねぇ見て、このドライイチジク、袋の写真と全然違ったの。残念!」
「渋皮煮を作ったから食べてみてほしいの。裏の栗の木があるでしょう、あれでね。今年はもう終わりかな、さっき見に行ったけどもうなかった。」
わたしもいろいろお話しする。例えば将来のこととか、興味のあること。
さなえさんのアトリエにある本を見ているとワクワクすること。
さなえさんは
わぁ、そうなんだ〜。
そうよね。
いいじゃん!
ちゃっかりしてるねぇ。
なんて言いながら、ゆっくりお茶に付き合ってくれる。
「ここの漆喰て自分で塗られたんですか?」
「そうよ。一人でではないけどね。」
「楽しそう。」
「楽しいよ!」
「わたし、おうちの壁に漆喰塗りたいんです。古い土壁ってぽろぽろ落ちてくるので。」
「いいじゃん、うちに塗る道具全部あるよ。」
「え、すごい!じゃあ漆喰を手に入れたらすぐ塗れますか?」
「うん、いつにする?」
こうしてわたしはトキメキセンサーを刺激され、さなえさんに会うと元気になってしまう。
お土産にもらった栗の渋皮煮を見て、
漆喰、いつ塗ろっかなぁ、
なんで考える。
世の中いろんな人がいるけれど、
素敵な大人のひとが近くにいることがわたしは嬉しい。
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