「全幅の信頼」を感じたお散歩
私は、パートで療育の補助員をしています。
今日は、年少さんの男の子A君と一緒にお散歩した時のお話です。
その日の活動は、子どもたちと長距離散歩。
私はA君と一緒に手を繋いで歩きました。
A君は「イヤだ」がとても上手。
身振り、手振り、「だーっ」、色々な方法で気持ちを教えてくれます。
散歩がスタートしてすぐ、1つ目の「イヤだ」は、
「この人(私)と手を繋ぎたくない!」
こんなときに登場するのが、数々のグッズです。
私のポケットの中にはミニカーやボール、フィギュアなどがいっぱい入っています。
そのうちの1つを見せると、
A君はそれを握り、
手を繋いで歩きはじめました。
そして2つ目の「イヤだ」は・・・
「歩きたくない!」
近くの公園のほうを指さし「向こうだ!」とアピールします。
「皆先に行っているから、かけっこしよっか~。よ~い、どん!」
走ることができました。
それからはテンポ良く進み、目的地に到着しました。
到着したものの、
今度は水分補給を嫌がるA君。
3つ目の「イヤだ」は・・・
「休憩しない!」
歩き続けていましたが、
ゼリーを見せると、自分からベンチに座りました。
ほっと一息。
さ。ここから帰り道。
「あの階段上りたい!」
「あの公園行きたい!」
「歩きたくない!」
帰り道の彼はアピールの連続。
そのたびに、
施設の写真を見せ、
おもちゃを変え、
最低限の声かけで・・・
歩き続けました。
―――――
帰り道の途中。
立ち止まって歩道の外を眺める彼を見ながら、
「全幅の信頼」という言葉が出てきました。
そうだよね、
大丈夫って信頼して生まれてきたよね。
たくさんの手が差し伸べられることをわかってたよね。
そのままで生まれてくるのは、
世界への信頼があるから。
それは、私も、同じだった。
そのままの彼とそのまま一緒に歩んでいく。
わたしもそのまま、みんなと一緒に歩んでいく。
―――――
振りほどこうとする小さな手を必死に握りしめながら、そんなことを思いました。
A君、貴重な1時間を経験させてくれて、
ありがとう。