怒りの矛先2020.

深夜のテンションで失った前髪。満月の日くらい不思議な力が働いていたと思う。正気に戻った自分を迎え入れてくれた鏡に映る自分、おでこが常人の二倍ありました。見間違いかな、もう一回ちゃんと見ると、ちゃんと人の二倍おでこがあり、気付きたくもないしわまではっきりと目に映ってきた。

人と話すとき、最低限守らなければならないルール、その最低ラインを髪形だけで軽く突破してしまうような、そんな髪型だった。どうしよう、人と会うことはとても少ないので大丈夫だが、家族はこの髪型を受け入れてくれるだろうか。この髪型、ツーブロックみたいな名称を付けるとしたら、完全にブロックレスおでこマシマシ。なんて愉快な現実逃避をしていても、残酷かな、太陽が朝を連れてきた。

心房心室がドキドキするのを感じながら、寝室から起きてくる母を待った。母はいつも通り起きてきた。扉を開けてすぐに目が合った。

「ん......」

おはようがない。朝の挨拶がない。我が家ではかならず朝の挨拶を交わしている。おはようの皆勤賞は消滅した。

「...ふざけんな」

暗殺者が耳元でささやくようなウィスパーヴォイスで、だけどはっきり殺意は感じ取れるような、声量と感情のパラレルワールドや!

「...ごめんなさい」

間違いなく、自分史上最も情けない声が出た。肺の空気を全く使わず、口の中に残っていたわずかな空気だけでささやいた、ごめんなさい。空気なくてもしゃべれるんだな、無限の宇宙の可能性を感じることができました。

太陽の光は知らん顔をして、また今日も僕らを照らしてくれた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?