ブルドッグ 横目で流す_2023/5/31


できるだけ毎日書こうと思っていた日記を更新しなくなって早2週間が経とうとしている。多忙は重なるものである。


今日だけで、イヌのお散歩シーンに3度すれ違った。この過疎地にとって、天文学的確立と言って差し支えない。プードル、ダックスフント、よくわからん雑種。みんな違って、みんな良かった。すれ違う瞬間、めっちゃこっち側に近づこうとするヤツと、全く見向きもしないヤツとがいて、まるで人間みたいだなと思った。すげえ見てくるヤツ、いるよね。私は怖いので極力目を合わせないようにすれ違うタイプです。


ペットと飼い主とは、どうしてあんなにも顔が似るのだろうか。似たもの同士、惹かれ合うように仕組まれているのか。私はどちらかというと、「ずっと長く一緒に居続けているうちに形質が徐々に似てくるんじゃないか」説を推している。強い根拠はない。が、その方が物語として好みなので、ぜひ現実でもそうであって欲しいと思う。


初めは赤の他人であるはずの恋人同士あるいは夫婦も、徐々に顔が似てくるように思えるのは私だけだろうか。生々しい話をすれば、そういった間柄の個体同士というのは長きにわたって表情などを観察しあっているのみならず、互いの身体から分泌されたあらゆるものを共有しあっているので、それらが似通ってくることは生化学的にも的外れなことではないと考える。何かが、きっとあるんだろう。触れ合うもの同士を同様の形質に持っていこうとする、何かが。


かなり前に読んだので細かいところは覚えていないが、本谷有希子さんの『異類婚姻譚』って、そういうことがテーマになっているお話じゃなかったっけ。こりゃすげえや、と思いながらサクサク読んだ記憶がある。



イヌという種は歴史的に、ヒトに変身を強いられ続けてきた悲しき獣である。その時代に、その人物に見合うように、幾度となく形質の変化を重ねてきた。可愛いから愛を注がれているのではなく、愛を注げるほど可愛くなるように仕組まれている。


イヌを飼うヒトは、そんなのチートだと思わないのだろうか。改造して攻略するゲームを面白いと思えるのだろうか。主人公があまりに最強すぎる漫画を楽しめるのだろうか。


欠けたものの方が、目立つ。そして、本来意図していないものにたどり着く可能性が高い。『弱点をあえて隠さない』こと。意外にも、そういった立ち回りの方が完璧主義より良いパフォーマンスを見せるものである。なので、私は今日も怠ける。五月病などではなく、これは立派な処世術である。



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