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家族という幻想~山田洋次監督

朝日新聞 10月29日〔土〕 別刷り be

山田洋次監督のコラム 「夢をつくる」
 タイトル:「家族はいいもの」という幻想

 「山田監督は、「今まで撲が描いてきたのは家族の物語」
「家族とは何かを考え続けてきたように思う」と言っています。

【要約】

 フーテンの寅さんに出てくる人々、さくらは異母兄妹、おいちゃん、おばちゃんは親戚。
タコ社長は赤の他人、と血のつながりは薄い。

  でも血の濃淡にこだわらず、みんなが仲良く暮らすことを意思的に努力する。
つまり「家族をする」という努力ができる賢さがあった。


 「寅さんシリーズ」が始まったころ、日本では核家族化が進み始める。
血縁より、地域社会という新しい価値感の時代。

 血のつながりを重視する気風は、同じ民族であることが大事ということで、
他民族を排除する精神になる。

 そもそも「家族はいいもの」というのは幻想ではないか。
家族をつくりあげるのは、理性と努力を要する面倒なもの。
 
 【いったん終わり】

 この仕事をしていると、本当に「家族ってなんだろう」と思うことがよくあります。

 例えば、家族だから期待するが、求めても得られない。
嫁は血はつながっていないが、「家族」のために奮闘する。
利用者さんにとって、家族は強い見方だが、そうでないこともある、などです。


 もちろん、絆の固い家族は普通にあると思いますが、
「家族をする」努力は割と必要なのではないかと思いました。

 それから、「血のつながりを重視すると、他民族を排除する精神になる」というところ。
これは思ったことのない考えでした。

 山田監督は「知や民族とは別の結びつきで人間同士の絆は築かれるべき」と言っています。

 私は考えました。
そして「何事も既成のものやしがらみに縛られず、
同じ人間であるというところから始めないといけない」ということかなと思いました。
さて、合っているでしょうか。

 この前読んだ、ちゃんへん.さんの「ぼくは挑戦人」で、
「みんな地球人やん」と思ったことを思い出しました。


 山田監督は最後にご自身の体験を語っています。
大学生の頃、両親が離婚し、家族が分解。
そのことが、家族という幻想や家族をする努力という考えをもたらしたのではないかと言っています。
   
 山田監督にそんな経験がおありだったのですね。
やはり家族の分解はせつないです。

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