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「舟を編む」文庫本を家で読んだ

電車に乗る時には文庫本を持っていきます

 この本はいつ買ったか覚えていなくて、
どこまで読んだかも忘れていました。

 基本、電車の中しか読まないのでいつまでも読み終わらないのです。


 先日、出かける時に持っていて読んだら面白くて、
帰ってから、家で一気に最後まで読んでしまいました。

 ああ、面白かった。
内容は、とある出版社の真面目・・・ならぬ馬締(まじめ)光也は
言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部へ。

 新しい辞書「大渡海」の完成に向け、同僚や老学者との長い長い旅が始まる
・・・とこれは巻末というか、本の裏の文です。

 まじめ君の、どことなく抜けていて、でも一生懸命で
何より言葉をひたすら探り、辞書作りに向かう姿が生き生きと書かれています。
そのキャラクターは、どことなく滑稽で。
なぜか恋も古風で笑えて。

 その周りの、彼を取り巻く人びとの姿も
目の前に浮かび上がってきます。
同僚の荒木さんも西岡さんも、
後で出てくる若い女性社員の岸辺さんも
老学者の松本先生も魅力的。

 辞書を作るというのは、載せる言葉の項目は何十万語という、
気の遠くなるような途方もなく膨大な作業。
「大渡海」も10年以上かかっています。

 これは単行本として発行されたのではなく、
雑誌の連載をまとめたものらしいです。

 何となくユーモラスなのはそのせいなのでしょうか。
何回も「クスッ」と笑ってしまいました。

 私が「良かったな」と思うのは、
この本が「言葉lというものを中心にしているところです。
最後のところの文章が泣かせます。
 「先生のたたずまい、先生の言動を語り合い、記憶を分けあい伝えていくためには
絶対言葉が必要だ」というところ。

 この本を読んだこともあり
私は今「言葉」って何だろうと思い始めています。

 言葉の持つ力。良くも悪くも持つ力。

 巻末にはまじめ君のラブレターじゃない、恋文が載っています。
登場人物の解説付きで。
文庫特典だそうです。

漢文付きのこんな恋文書く人、現代社会にいますかね。

 いや、いるかも。
もらってみたいかも。


 三浦しをんさんの本で他に読んだのは『仏果を得ず』

 文楽の世界を書いた本で、とても感激しました。
それから気になっていたのです。
「木暮荘物語」も持っていますが、
さてさて、これは読み始めているのは確かなのだけど、
最後まで読んだんだっけ。


 ここからは蛇足です。でも書いておきたいので書きます。

 私は作家に嫉妬する。
なんでこんなに文章がうまいんだ。
作家なんだから当たり前だけど羨ましい。

自分とは違う力量がある。
自分なんか足元に及ばない。
自分の力にがっかりする。
比べるのがおかしい。


自分は作家としてデビューしたいの?
エッセイストになりたいの?

 それは無理だなあ。
現実にもどるけど、否、いつかきっと!

 三浦しをんさんの文章があまりに素晴らしいので、
そんなことを考えたのでした。 

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