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書評

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#フランス

アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』

アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』を読み終える。も…

既視の海
2か月前
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アントワーヌ・ローラン『ミッテランの帽子』を読む。さえない会計係、不倫中の作家の卵、スランプの調香師、時代遅れの資産家が次々と仏大統領の帽子を手にして運命を変えていく。洒脱な筆運びと固有名詞、歴史的事実で具体、具体とたたみかける。登場人物も読み手もみな幸せな気分になれるのがいい。

既視の海
8か月前
13

ダニエル・ロンドー『タンジール、海のざわめき』を読む 。四方田犬彦『モロッコ流謫』の参考文献。タンジェの軽い点描でそれほど心は動かなかったが、訳者によればフランスにおけるボウルズ再評価の契機となった1冊だとか。映画『ヘカテ』の原作者ポール・モランに触れていたのが嬉しい収穫。

既視の海
10か月前
8

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』

ある写真家についての随筆を読んでいたら、その写真家の思想はシオランに通じるという。 シオ…

既視の海
11か月前
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分かりあえなさを超えて——エリザ・スア・デュサパン『ソクチョの冬』【書評】

湿った重い雪のように、分かりあえなさが積もる。 分かりあえないのは、出自が違うからなのか…

既視の海
1年前
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サガン『ブラームスはお好き』を読む。離婚歴はあるが女性として自立している39歳のポールが、恋人の中年男ロジェの浮気を機に、裕福で美男な14歳下のシモンの求愛に応じる。だがポールもロジェも孤独感に苛まれる。フランスらしい揺れる心の描き方は秀逸。凡庸と言われようとサガンはいい。

既視の海
1年前
8

【書評】エリック・ファーユ『プラハのショパン』

チェコやプラハときくと、訪れたこともないのに、懐かしくて、胸騒ぎがする。 まっさきに思い出すのは、ミラン・クンデラの小説『存在の耐えられない軽さ』。主人公テレザは写真家として1968年の「プラハの春」という、ソビエト連邦の戦車がチェコスロバキアの自由化運動を押しつぶす様子を撮影する。現実ではヨゼフ・クーデルカが撮影し、そのフィルムを西側に持ち出し発表したことで、後にクンデラ同様に亡命せざるをえなかった。祖国を追われた悲しみが写真集『EXILS』に結実している。 といっても

【書評】エリエット・アベカシス『30年目の待ち合わせ』

登場人物の感情移入と物語への没入だけが読書の楽しみではない。運命であれ因果であれ、人間関…

既視の海
1年前
5

エスプリのきいた愛の物語——ダヴィド・フェンキノス『ナタリー』【書評】

拝啓 足早に2月が逃げ去っていきます。忙しいとは心を亡くすことだとは、よく言ったものです…

既視の海
1年前
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“Annam”をフランス語で読む

正月早々、荷物が届いた。発送元はフランス。 クリストフ・バタイユ著、辻邦生訳『安南 愛の…

既視の海
1年前
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