骨董はいじるもの、欲望は愛でるもの——アントワーヌ・ロラン『青いパステル画の男』【書評】
拝啓
冬至からひと月近くたちますが、日は低いままですね。ただわが家では、その低い日差しが庭のオリーブの樹影をクリーム色のロールスクリーンに映し出し、部屋の内側から見ることができるのです。樹影は刻一刻と移りゆきます。丸谷才一『樹影譚』とはちょっと違った、冬ならではの楽しみです。
あなたが教えてくれるままに、日本人作家の随筆も読む一方で、発売を待って入手したものの、なかなか手に取れなかったフランスの小説をようやく読み終えました。アントワーヌ・ロラン『青いパステル画の男』です。