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【博物館紹介】上野・科学博物館の企画展「日本の哺乳類学」展へGO

 上野公園が大好きっ子なもので、先日また上野・国立科学博物館へ行ってまいりました。まずは以前から注目していた特設展「恐竜博2023」を見学。

 アンキロサウルス科の恐竜「ズール・クルリヴァスタトル」やティラノサウルス2体の化石など、最新の研究結果に基づく展示が大迫力!

2体で仲良くガオーッ!!
手前がズール・クルリヴァスタトル。
クルリヴァスタトルは「脛の破壊者」という意味で、尻尾先のハンマーで肉食恐竜の脚を
バギャアッと粉砕してただろうとの想像から付けられたそうです。メチャクチャ痛そう。

 ご存知の方も多いでしょうが、科学博物館は旧来の「日本館」と新しい方の「地球館」の2棟構成。恐竜博の会場は地球館にあるため、見学後に別棟の「日本館」も散策しました。

科学施設というより教会のような荘厳さ。
日本館は関東大震災後の復興建築として昭和6年に完成しました。

 日本館はその美麗な建物自体も貴重な文化財。天井を見上げると、その美しさには毎度のように引き込まれてしまいます。

 日本館1階には企画展用のオープンスペースもあり、特設展よりも小ぶりながら、より専門性高めで興味深い展示が行われています。過去の展示はこんな感じ↓でした。

こちらは常設展料金のみで見学できるのも強みですね。

 現在開催の企画展「科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡」も、科学マニアがじっくり楽しめるような興味深い内容でしたので、今回はこちらを紹介させていただきます。

◆第1章「日本における哺乳類学の始まりと発展」

 展示は3章立てで、「日本における哺乳類学の始まりと発展」「科博と哺乳類学」「哺乳類学の現在とこれから」がテーマ。

 第1章では、幕末期から現在までの日本の哺乳類学の歴史が紹介されており、ドイツの博物学者シーボルト氏の業績から始まり、日本人が学問の主役になっていく様子が描かれています。

幕末期に日本を訪れたシーボルト氏がトップバッター。
日本人女性とのロマンスや「シーボルト事件」などでも知られていますね。
明治前期、日本の哺乳類研究は外国人が主役でした。
多くの標本が日本から海外へ渡り、欧米の科学者の興味を惹いたそうです。
やがては日本人の科学者も数多く研究現場で活躍するように。
世界三大珍獣のジャイアントパンダ、オカピ、コビトカバを選んだのは日本人!

◆第2章「科博と哺乳類学」

 第2章では、科学博物館の成立から発展にゆかりのある動物剥製や研究成果が展示されています。
 明治時代にタイから贈られたアジアゾウが死後に標本になったものや、100年以上前の帝室博物館時代そのままのキリンの剥製など、歴史ある標本がずらり。

アジアゾウの骨格標本の向こうには、地下1階のカフェラウンジに続く階段があります。
今年で骨格標本としてのキャリアが130年になるタイ出身のゾウさん。
よく見ると首部分の支柱が凝ったデザインになっています。
こちらも科博の標本になって100年以上の古参にあたるキリンさん。
20世紀初期の写真にも全く同じポーズで写っています。

 標本の種類や作成方法についても詳しく紹介されており、興味深いです。

生前の姿そのままを再現した本剥製。地球館3階に大量に並べられています。
収納性に優れた革のみ標本。この他にも骨格標本やホルマリン漬けなどが展示されていました。

◆第3章「哺乳類学の現在とこれから」

 第3章では、動物標本収集の現状について紹介されていました。
 小さいスペースではありますが、絶滅危惧種であるアマミノクロウサギの標本がずらりと並んでいて圧巻。これらは不幸にも事故死したアマミノクロウサギを採取して標本化しているそうです。

第3章は最後の方に少しだけ展示。ブース真ん中に立ってぐるりと見回せばすべて閲覧できます。
希少なアマミノクロウサギがこんなに事故死しているのかと胸が痛くなりますね…
展示されているのは比較的状態が良いもののみで、それ以外を含むと100体以上が剥製として
科博に納められているそうです。

 こうした貴重な動物の事故死について実態を把握すること、それに対する対応・取り組みを社会に啓発していくことも、博物館の大切な仕事であることがよく分かります。

◆おわりに

 企画展「科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡」の紹介、如何でしたでしょうか。国立科学博物館は、特設展以外にも、企画展などの形で、常設展料金だけで楽しめるさまざまなイベント・展示を開催しています。何度訪れても飽きない素敵な博物館です。

 現在展示の「科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡」の詳細はこちらのリンク↓から見てください。

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